研究課題/領域番号 |
03454221
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
猿田 享男 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (70051571)
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研究分担者 |
中元 秀友 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90180421)
鈴木 洋通 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (80129494)
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キーワード | 高血圧 / 腎障害 / 食塩 / 蛋白質 / カルシウム / カルシウム拮抗薬 |
研究概要 |
本年度はラットを用いた基礎的研究と、ヒトの腎障害を伴った高血圧患者を対象とし、食事と諸種降圧薬の腎障害の進展に対する影響を検討してきた。 ラットの研究では高血圧自然発症ラットの部分腎摘モデルを用いて食塩摂取量を0.08%、0.39%および1.95%とした場合の腎障害の進展状態と、蛋白質の摂取量を8%、24%および40%とした際の腎障害の進展への影響を検討した。血圧および腎障害と食塩摂取量が多くなるにつれ、また蛋白質の摂取量が多くなるにつれ増悪したが、両者の比較では、1.95%の食塩負荷の影響の方が、40%の高蛋白負荷よりも増悪が著明であった。この成績より糸球体過剰濾過状態において、減塩食および低蛋白食の摂取がいかに重要であるかが示唆された。両因子による増悪機構に関しては、その機序が多少異なり、腎におけるカリクレインおよびプロスタグランジン産生量に差があることを認めている。なお機序を検討していく必要があると思われた。腎障害の進展に対する食事因子としてカルシウムの摂取量も重要であり、デオキシコルチコステロン・食塩負荷にアドリイアマイシンを注射して高血圧を腎障害を発症させたラットにおいて、カルシウム負荷とアルミゲル投与および血管拡張薬であるヒドララジン投与との効果を比較したところ、カルシウム負荷はリン吸着作用とカルシウム調節因子への影響を介して降圧と腎障害進展阻止効果を発揮することが明らかになった。 ヒトでの検討では、血清クレアチニンが1.5mg/dlの高血圧を有する腎不全患者において、食塩6g/日で、蛋白30-50g/日の食事下で、降圧薬としてカルシウム拮抗薬を投与して腎不全の進展への影響を検討してきた。食塩6g/日と、蛋白質30g/日の食事下でカルシウム拮抗薬投与により150/90mmHg以下の血圧とするのが効果的である。
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