研究課題/領域番号 |
03454223
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 (1992-1993) 千葉大学 (1991) |
研究代表者 |
小俣 政男 東京大学, 医学部(病), 教授 (90125914)
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研究分担者 |
松村 雅幸 東京大学, 医学部(病), 医員
多田 稔 東京大学, 医学部(病), 医員
白鳥 康史 東京大学, 医学部(病), 助手 (70196624)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | HBウイルス / Core遺伝子 / 変異株 / 野生株 / HLA / 肝炎 / 劇症 |
研究概要 |
B型肝炎ウイルス感染症は、自然寛解する急性肝炎から劇症肝炎まで、また無症候性キャリアから慢性肝炎、肝硬変まで、様々な病態が存在する。B型肝炎ウイルスによる肝細胞障害は、細胞障害性T細胞によるウイルスのCore蛋白を標的とした感染肝細胞の破壊により起こると考えられている。そこでB型肝炎の種々の病態について、Precore及びCore遺伝子領域の塩基配列を決定した。B型劇症肝炎、慢性肝炎、肝硬変例ではCore遺伝子の特定の部位に変異が集積して認められた。一方対照とした自然寛解した急性肝炎、及び無症候性キャリアでは全く変異は認められなかった。この結果より、Core遺伝子の特定の部位に変異を有するウイルスにより強い肝障害が引き起こされると考えられ、さらに変異部位が細胞障害性T細胞のエピトープである可能性が示唆された。さらに、ダックB型肝炎ウイルス持続感染実験系を確立し、変異を有するウイルスと野性種の混合感染実験を行った。その結果、感染早期の段階で変異種は排除され、野性種が感染し続けた。このことから、ヒト母子感染において野性種は伝播されるが変異種は排除され、B型肝炎ウイルスは永年にわたりウイルスの原型が保たれていると推察された。 さらに細胞障害性T細胞によるウイルス感染肝細胞の認識は、HLA class I分子により肝細胞表面に表出された9個程度のアミノ酸よりなるウイルスの免疫標的を、T細胞受容体が認識する機序によると考えられている。そこでB型肝炎の病態における宿主側の要因、即ちHLA class I分子に抱かれているpeptideの解析を開始した。現在、B型肝炎ウイルス感染細胞よりHLA class I分子の分離をaffinity columnを用い行い、回収しているところである。今後、回収したHLA class I分子より抱かれているpeptideを抽出し、タンデム質量分析機にてアミノ酸配列の解析を行い、それに見合うウイルス蛋白の同定を行う予定である。
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