研究課題/領域番号 |
03454224
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
|
研究分担者 |
相沢 良夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90147273)
銭谷 幹男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70138767)
|
キーワード | 自己免疫性肝炎 / 類洞壁内皮細胞 / 血管内皮細胞 / 内皮細胞抗体 / スルファチド / ヘパラン硫酸 / ヘパリン |
研究概要 |
自己免疫性肝炎(Auto immune bepatitis,以下AIH)で高頻度に出現する抗スルファチド抗体がヘパリン、ヘパラン硫酸と反応することに注目し、血管内皮細胞に対するAIH患者血清IgGの効果を検討した。その結果、AIH患者患血清IgGは血管内皮細胞障害性であることが明らかとなった。この結果を踏まえて、肝類洞壁内皮細胞に対するAIH患者血清IgGの反応性並びに障害性について検討した。類洞壁内皮細胞はKnookらの方法に凖じて分離し、グルタルアルデヒド固定後、ウィルス性慢性肝炎、原発性胆汁肝硬変、AIH患者血清とインキュベートし、類洞壁内皮細胞結合IgGをペロキシダーゼ標識プロティンAを用いて定量した。その結果、AIH患者の90%の症例において類洞壁内皮細胞結合IgGの有意の増加がみられた。一方、ウィルス性慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変患者血清とインキュベートした際には結合IgGの有意の増加はみられなかった。結合IgG量はIgGを還元アルキル化後も有意の減少を示さず、また、IgGをペプシン消化することにより調製したF(ab´)_2も類洞壁内皮細胞に対して有意の結合を示した。このことから、AIH患者血清IgGの類洞壁内皮細胞への結合はFcレセプターを介するものではなく、F(ab´)_2を介するものであり、抗原抗体反応によるものと推定をれた。また、IgG結合はヘパリンとインキュベートすることにより減少し、またヘパリンカラム非結合分画には類洞壁内皮細胞結合性はなかった。このことはAIH患者血清IgGは類洞壁内皮細胞表面のヘパリンと反応することを示している。つづいて、培養類洞壁内皮細胞に対するAIH患者血清IgGの効果を検討した。AIH患者血清IgG添加は類洞壁内皮細胞の生着率を減少させた。一方、ウィルス性慢性肝炎患者血清IgGにはこのような作用はなかった。
|