研究概要 |
HCVはRNAウィルスであり、変異が多いことが指摘されている。このHCVの変異は、急性肝炎からの慢性化への機序をはじめとして、C型肝炎の種々の病態に関与している可能性だけでなく,HCV抗体検出系の確立にも重要な意味を有する。したがって、本研究では、HCV変異性の検討を、HCV genomeの種々の領域を用いたPCR法や、HCV抗体測定系を用いて行なった。 (1)HCV変異性の検討(PCR法):PCR法に際して、用いるプライマ-によりHCV・RNAの検出率が異なった。NSー5領域に比して、非翻訳領域と用いるとHCV・RNAの検出率は高く、非翻訳領域は変異が少ないことが確認された。また、PCR法自体も従来のRT法よりもnested法の方が検出率が高かった。 (2)HCV変異性の検討ーワクチン開発への考察:研究代表者がクロ-ニングによりえているHCV遺伝子のいくつかの領域を用いて、HCV抗体測定系を作製し、中和拡体の有無等について検討した。コア領域由来のS29,NS3領域由来のS4,さらにはこのS29+S4に対する拡体の存在とC型肝炎患者血清を用いて測定した。S29+S4では従来のロア領域に由来するNー14抗体測定系よりもはるかに高率にl/a95%にHCV拡体が検出された。中和抗体の存在については急性C型肝炎について次年度更に検討をすすめたい
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