研究概要 |
1.生検肝組織中のP450II E1量とその活性の測定:A1性・非A1性肝疾患患者の肝生検組織の5ー10mgをhomogenizeした後、マイクロ超遠心器でmicrosomeを分離し、P450II E1活性を並行するとされているpーnitrophenol hydroxylase(PNP)活性をKoopらの方法で測定した。また、microsome分画をSDSーPAG電気泳動後、ヒトP450II E1に特異的な抗体(家兎で作成)用いてWestern blottingを行い、その反応の強さをdensitometerで測定し、P450II E1量を算定した。現在まで10例の肝生検組織についての成績がえられているが、A1性肝障害でのPNP活性は正常者の2倍で、P450II E1量も明かに増加していた。 2.生検肝組織中のP450II E1 mRNAの測定:肝homogenateからoligoーdTカラムでmRNAを抽出し、P450II E1のcDNAをprobeとして、mRNAとslot boottingを行い、その反応の強さからP450II E1 encoding mRNA量を算定する予定であるが、P450II E1遺伝子の核酸基配列が判明してきているので、現在それに基づいてblooting用のcDNAを作成中である。 3.P450II E1遺伝子の解析:ヒトP450II E1遺伝子の5'ーflanking regionの遺伝的多形性が判明してきたので、この部位に対するprimerを合成し白血球から抽出したDNAからpopymerse chain reactionを用いてP450II E1のcDNAを増幅した。このPCR産物を2種の制限酵素(PstーI,RsaーI)を用いて切断し、その断片の長さからP450II E1の遺伝的多形性を分析した。現在までの分析では、A1性肝障害患者すべて正常遺伝子homozygoteで、正常と異常遺子のheterozygoteはA1性肝障害のない患者に検出されている。 以上のごとく、本研究追求のための基礎的分析はほぼ終了したので、今後はA1性、非A1性肝疾患患者での成績を比較する予定である。
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