研究課題/領域番号 |
03454233
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松本 慶藏 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40004767)
|
研究分担者 |
隆杉 正和 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (90163203)
高橋 淳 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (50171468)
大石 和徳 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (80160414)
力富 直人 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (70175032)
永武 毅 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (30164445)
|
キーワード | インフルエンザ菌 / 肺炎球菌 / ブランハメラ・カタラ-リス / 緑膿菌 / 咽頭殺菌療法 / アタッチメント予防法 / 免疫学的療法 / モノクロ-ナル抗体 |
研究概要 |
1)難治性呼吸器感染症の予防:咽頭殺菌療法 (1)肺炎球菌感染の既往のない慢性下気道感染症群と肺炎球菌頻回感染郡および健常コントロ-ル群での咽頭及び鼻腔の細菌叢を調べた。頻回感染群では下気道感染症の主要起炎菌である肺炎球菌、インフルエンザ菌ブランハメラなどの付着率がその他の群に比し高かった。 (2)呼吸器感染症主要起炎菌であるインフルエンザ菌、肺炎球菌、ブランハメラを用いポピドンヨ-ドの殺菌能をみた。主要3菌に対し本剤は通常の含嗽濃度である30倍〜60倍希釈では10秒間でも10^7cfu/mlの細菌を殺菌することを確認した。 (3)繰り返し感染を起こす慢性下気道感染症患者21名に対してポピドンヨ-ドによる含嗽の感染症予防効果を検討した。平均1年5ヵ月の観察期間で本剤を用いて含嗽することにより急性増悪は平均4.4回から2.2回に減少した。急性増悪の主要起炎菌は含嗽前に多くみられたインフルエンザ菌、肺炎球菌、ブランハメラの頻度が激減し、緑膿菌の頻度が増加した。 2)難治性呼吸器感染症の予防:アタッチメント予防法 電子顕微鏡的観察にてブランハメラ・カタラ-リスには莢膜の存在が示唆され、fimbriaeと莢膜が病原性に関与することが推定された。本菌のfimbriaeと莢膜を介した気道上皮への付着防止を検討している。 3)緑膿菌感染症における免疫学的療法 緑膿菌表面抗原のIipopolysaccharide(LPS)O抗原に対するモノクロ-ナル抗体を作成し、マウス致死的緑膿菌性肺炎モデルを用い、このモノクロ-ナル抗体の治療効果と作用機作を検討した。その結果投与開始が早期であるほど生存率は高率であった。この効果はこの抗体の効率の良い組織移行性に基づくことを明らかにできた。このモノクロ-ナル抗体療法は重症、難治性緑膿菌性呼吸器感染症に対する新しい治療の方向性として期待される。
|