研究概要 |
1. in vivoで筋肉の緩和時間測定をするために、生体計測用NMR装置(2.0T、30cm径、BEM250/80、大塚電子)において、2cmの表面コイルを用い、緩和時間を測定するパルス系列を作製した。観測領域での緩和時間は、Hahnのspin echo法にデプスパルス系列を加えたパルス(*)を用いて測定した。θ-τ-2θ;[2θ(±x,±y)]_1-τ-Acquire Echo-Delay(TR)(*)。Flip angle(θ)を変えることによりファントム各層のアルブミン水溶液の横緩和時間(T_2)を測定した結果、機器分析用NMR装置で 測定した値と同様であった。デプスパルスの原法はn回デプスパルスをかけ、完全な領域選択を達成している。今回の検討では、コンピューターの容量の制限により、デプスパルスを1回しか適用できず、領域の選択性は低いが、特定の距離(10.5mm)に既知のT_2のアルブミン水溶液を入れた多層のファントムを用いた測定で、通常のspin echo法に比べ正確にT_2が求められた。この簡易デプスパルス法を用いて、ヒトの前腕の筋肉のT_2を求めた。対象は健常人3名と肺気腫患者1名である。横磁化減衰曲線は2相性を示すが、T_<2f>、T_<2s>ともにin vitroの測定結果よりかなり短い。In vitroの測定に比べ、信号/ノイズ比が低いため、長いpulse in tervalでは信号が検出できず、ここでみているT_2はin vitroのT_<2s>にあたる可能性が高い。従って1相性として、T_2を計算するとin vitroの値に比べ、やや短い(健常人:29.4,24.4,33.0msec,患者:30.5msec)。これは生体組織の不均一性によると考えられる。 2.in vitroで乳酸(1,0.1,0.01,0.005M)の測定を試みた。表面コイルを用い、試料の90゚パルスを決定し、水の信号を抑制するための、1,3,3,1パルスのパルス幅を決定した。0.01Mまでは乳酸のピークを検出できたが、それ以下では、濃度と信号強度が比例しなかったこと、水の抑制がまだ不十分であることが問題点である。
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