研究概要 |
本年度は,まず臨床・病理学的に診断の確定した多系統変性症症例のほか,臨床的にはほぼ自律神経障害のみを呈しpure autonomic failure(PAF)と診断され得る症例についても免疫細胞化学的に検索し,特異的な嗜銀性封入体の存在とその分布を明かにし,本疾患がこれまで知られているようにオリ-ブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,ShyーDrager症候群のみならず,PAFをも表現型として取り得ることを初めて示した(研究発表参照)。 次いで,本封入体の構成成分を同定するため,まず組織全体のホモジェネ-トを遠心分離後SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分析し,可能性のあるバンドを切り出し,それを抗原として本封入体を認識する抗体を作成した。さらに,現在,封入体そのものを分離することにほぼ成功し,その分離封入体について微細構造的にまた免疫化学的に検討中である。 さらに,凍結脳組織を用いた免疫細胞化学的検索については,組織の破壊が著しいため細胞レベルでの詳細は判別困難であることが明かとなった。現在,適切な個定法の検討とそれにより処理した組織の収集につとめている。
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