研究概要 |
アセチルコリン受容体(AchR)分子、立体構造のB、T細胞認識性の観点から研究し以下の成績を得た。1.AchR崩壊促進作用抗体の標的を分子構造中のα67-76、T細胞認識領域(ルイスラット)をα107〜116とした。2.両者単独、混合、人工的アミノ酸配列介左連結など6種の合成ペプチドを免疫原に選び、それぞれでラットを免疫、発病の状態を免疫学的、生理学的指標で評価した。3.疾患誘導に関わる抗原としてはα67〜76とα107-116の複合連結ペプチドが最も有意性が高く、一方、天然AchR蛋白質を抗原として免疫し発症した動物モデルでの血中抗体検定には、α-67-76とα107-116の間にβターン構造を強調すべく人工的アミノ酸配列(NPGG)を介在せしめた合成ペプチドが最も有用であった。2次元核磁気非鳴法(NMR)によるペプチド立体構造解析は、前者でαヘリックス、後者でβターン構造がつよく、免疫学的立体構造推定と一致した。4.動物モデルで疾患誘導性、抗体反応性が高かった合成ペプチドを含む6種の人工抗原のいずれも、ヒト重症筋無力症患者血中抗体検定用としては有違性が低かった。5.ヒトでの血液準化療法への応用に資すべく、α67〜76を骨格としてこれにつよいターン構造をとらせる人工的アミノ酸配列の連絡を行った。全12種のペプチドのうちCKGGLR-α67〜76-KC,KKC-α63〜77-C,KKC-α62〜77-C,KKC-α61〜77-Cのヒトおよびシビレエイ残基配列計8種のペプチドは、モノクローナル抗体(受容体崩壊促進作用)とつよく反応した。患者血中抗体との反応率は20%弱であった。6.アセチルコリンと受容体との結合を阻害する抗体の標的領域α183-200の合成ペプチドを吸着剤として、患者血液体外循環中に血二成分と反応させ、病原抗体の選択除去をはかる臨床応用(血液淨化療法)は、高い有効性を示した。
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