研究課題/領域番号 |
03454240
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
葛原 茂樹 三重大学, 医学部・附属病院, 教授 (70111383)
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研究分担者 |
矢谷 隆一 三重大学, 医学部, 教授 (80024636)
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キーワード | 脳の老化 / アルツハイマー型老年痴呆 / アルツハイマー神経原線維変化 / 老人斑 / タウ蛋白 / β蛋白 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
昨年度の正常老化脳の研究に引き続き、本年度はアルツハイマー型老年痴呆脳について、アルツハイマー神経原線維変化(NFT)と老人斑(SP)の免疫組織化学的所見を検討した。アルツハイマー型老年痴呆36例(70歳代〜100歳代)について、海馬を含む側頭葉のホルマリン固定・パラフィン包理切片を、タウ蛋白とβ蛋白について免疫組織科学的に染色し、主として顕微鏡学的観察に基づいて、その病変の傾向を検討し、次のような結果を得た。 (1)海馬と海馬傍回には、多数のNFTが出現する。これは正常老化脳でも認められる所見であるが、アルツハイマー型老年痴呆脳において、より顕著である。(2)上・中・下側頭回にも、相当数のNFTが認められた。これは正常老化脳にほとんど認められなかったことと対照的な所見であった。(3)SPは、ほぼ全例において、海馬を含む全検索部位で多数認められた。これは、正常老化脳の中での多数出現例とほぼ同程度であった。正常対照例では、多数出現例からSPが全く出現しないものまでバラツキが大きかったのに対して、アルツハイマー型老年痴呆例では、ほぼ全例に多数出現していた点が異なっていた。(4)海馬は、正常対照例においては、NFTは最も出現しやすく、SPは最も出現しにくい部位であったが、アルツハイマー型老年痴呆においても、他の部位と比較して、同様の傾向が認められた。 以上のような顕微鏡学的観察による半定量的所見を、画像解析装置を用いて数値化・定量化することを試みている。染色性と解像力、人工産物の除去の困難さ、脳の解析部位をどこに定めるかでなお技術的困難があるが、それらを解決することによって、研究目的が達成できる状況にある。
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