1992 年度実績報告書

脳内神経伝達物質の加齢変化に及ぼす遺伝子発現の影響

研究課題

研究課題/領域番号	03454242
研究機関	広島大学
研究代表者	中村重信広島大学, 医学部, 教授 (30026843)
研究分担者	郡山達男広島大学, 医学部, 助手 (80195693) 安部明夫広島大学, 医学部・付属病院, 助手 (10159436) 石崎文子広島大学, 医学部・付属病院, 講師 (60093572) 片山禎夫広島大学, 医学部・付属病院, 助手 (00211160) 山村安弘広島大学, 医学部, 助教授 (10106388)
キーワード	β-アミロイド蛋白前駆体 / c-fos / c-jun / アセチルコリン / アセチルコリンエステラーゼ / 老人斑
研究概要	種々の試料について、β-アミロイド蛋白mRNA、c-fos、c-junなどの遺伝子の発現を測定することが可能になった。この方法にて加齢によるβ-アミロイド蛋白mRNAなどの発現を部検脳を用いて測定した。部検脳を用いた研究ではβ-アミロイド蛋白前駆体のうち蛋白分解酵素阻害物質を含むAPP751+APP770と蛋白分解酵素阻害物質を含むまないAPP695のmRNAの比を測定した。痴呆のない対照群でもアルツハイマー病群でもAPP751+APP770のmRNA/APP695のmRNAの比は加齢とともに上昇した。一方、加齢によるアセチルコリンの量は減少する。アセチルコリンはSK-N-SH細胞のm3受容体に作用して、30分後にc-fosやc-junのmRNAの発現を増加させる。その後、8時間にはβ-アミロイド蛋白前駆体のmRNAの発現を増加させた。その際、蛋白活性化酵素Cの阻害薬を加えるとAPPのmRAN発現は抑えられた。このようにしてアセチルコリンm3受容体刺激によるAPPの増加はAPP695によるものであった。さらに、thrombinによるAPPmRNA発現量について検討した。thrombinによりAPPmRNA発現量は24時間まで経時的に増加した。一方、plasmin,tissue plasminogen activator,phorbol myristic acid にはAPPmRNA増加作用は認められなかった。アセチルコリンの分解酵素はアセチルコリンエステラーゼ(AChE)は老人脳やアルツハイツマ病患者脳では老人斑と一致して認められた。アルツハイマー病部検脳より老人斑を分離して、そこにおけるAChEの検索を行った。その結果、老人斑におけるAChEは蔗糖密度勾配遠沈法により12S,16Sを示す巨大な分子で、コラゲネーズ処理により10Sに転換されたことから、老人斑のAChEはコラーゲンを含んだA型であることが明らかになった。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Nakamura,S: "Cerebrovascular diseases and sudden death." Asian Med.J.35. 616-621 (1992)
[文献書誌] Nakamura,S: "The effects of acetylcholinesterase inhibitors on acetylcholinesterase in senile plaqul." Neurobiol.Aging,(Suppl 1)S.13. 124- (1992)
[文献書誌] Nakamura,S: "Amiloid beta protein precursors with Kunitz-type inhibitor domains and acetylcolinestrase in cerebrospinal fluid from patients with dementia of the Alzheimer type." Acta Neurol Scand. 85. 343-346 (1992)
[文献書誌] Nakamura,S: "Age-related changes in the proportion of amyloid precursor protein mRNAs in Alzheimer's disease and other neurological disorders." Mol.Brain Res.15. 303-310 (1992)
[文献書誌] 中村重信: "ニューロトランスミッターからみた神経疾患の治療-カテコールアミン・セロトニン系薬物による治療" 神経治療学. 9. 435-437 (1992)
[文献書誌] Nakamura,S.: "Immunohistochemical localization of the proteinase inhibitor region of amyloid precursor proteins in the neocortex of Alzheimer's disease and aged controls." Acta Neuropath.84. 244-249 (1992)
[文献書誌] 中村重信: "老年期痴呆とβ蛋白.第23回日本医学会総会1991京都総会会誌I" 第23回日本医学会総会, 163 (1992)
[文献書誌] 中村重信(長谷川和夫編): "アルツハイマー病の神経伝達物質.アルツハイマー病" 日本評論社.東京, 44-50 (1992)

1992 年度 実績報告書

脳内神経伝達物質の加齢変化に及ぼす遺伝子発現の影響

研究代表者

中村 重信 広島大学, 医学部, 教授 (30026843)

研究成果

[文献書誌] Nakamura,S: "Cerebrovascular diseases and sudden death." Asian Med.J.35. 616-621 (1992)

[文献書誌] Nakamura,S: "The effects of acetylcholinesterase inhibitors on acetylcholinesterase in senile plaqul." Neurobiol.Aging,(Suppl 1)S.13. 124- (1992)

[文献書誌] Nakamura,S: "Amiloid beta protein precursors with Kunitz-type inhibitor domains and acetylcolinestrase in cerebrospinal fluid from patients with dementia of the Alzheimer type." Acta Neurol Scand. 85. 343-346 (1992)

[文献書誌] Nakamura,S: "Age-related changes in the proportion of amyloid precursor protein mRNAs in Alzheimer's disease and other neurological disorders." Mol.Brain Res.15. 303-310 (1992)

[文献書誌] 中村 重信: "ニューロトランスミッターからみた神経疾患の治療-カテコールアミン・セロトニン系薬物による治療" 神経治療学. 9. 435-437 (1992)

[文献書誌] Nakamura,S.: "Immunohistochemical localization of the proteinase inhibitor region of amyloid precursor proteins in the neocortex of Alzheimer's disease and aged controls." Acta Neuropath.84. 244-249 (1992)

[文献書誌] 中村 重信: "老年期痴呆とβ蛋白.第23回日本医学会総会1991京都総会会誌I" 第23回日本医学会総会, 163 (1992)

[文献書誌] 中村 重信(長谷川和夫編): "アルツハイマー病の神経伝達物質.アルツハイマー病" 日本評論社.東京, 44-50 (1992)

1992 年度実績報告書

中村重信広島大学, 医学部, 教授 (30026843)

[文献書誌] 中村重信: "ニューロトランスミッターからみた神経疾患の治療-カテコールアミン・セロトニン系薬物による治療" 神経治療学. 9. 435-437 (1992)

[文献書誌] 中村重信: "老年期痴呆とβ蛋白.第23回日本医学会総会1991京都総会会誌I" 第23回日本医学会総会, 163 (1992)

[文献書誌] 中村重信(長谷川和夫編): "アルツハイマー病の神経伝達物質.アルツハイマー病" 日本評論社.東京, 44-50 (1992)