研究課題/領域番号 |
03454248
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 講師 (60207975)
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研究分担者 |
西村 敬史 東京大学, 医学部(病), 医員
中原 賢一 東京大学, 医学部(病), 医員
黒尾 誠 東京大学, 医学部(病), 医員
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キーワード | ミオシン重鎖 / 胎児型ミオシン / 遺伝子 / プロモーター / トランスジェニックマウス / Na^+ / H^+逆輸送担体 |
研究概要 |
平滑筋細胞の細胞形質は増殖に伴って変化する。とりわけ平滑筋細胞の重要な収縮蛋白ミオシン重鎖アイソフオームが個体発生および血管障害時に胎児型に変換することは、ミオシン遺伝子の解析が平滑筋細胞の分化と増殖の分子機構を解明する格好のモデルであることを示している。本年度、われわれは胎児型平滑筋ミオシン重鎖の遺伝子の解析を行なった。 胎児型平滑筋ミオシン重鎖の遺伝子プロモーター領域にはTATA boxは存在せず、また明らかなGC-richの配列も認められなかった。このような配列は発生過程で発現調節を受けている遺伝子に特徴的と言われている。本遺伝子のプロモーターは、-100塩基付近に存在するCAAT boxが重要な役割を担っていることも示された。今後はこのCAAT boxに結合して転写を活性化する因子について検討を行なう。 一方、平滑筋細胞増殖に細胞内pHを調節するNa-H逆輸送担体が関与することが知られている。我々はこのNa-H逆輸送担体の発現亢進が平滑筋細胞増殖に及ぼす影響を明かにするため、これを過剰発現するトランスジェニックマウスの確立も試みた。まずウサギNa^+/H^+逆輸送担体の全長cDNAをペプチド鎖伸展因子プロモーターに連結して導入遺伝子(EFNaH)を構築した。次に、マウス受精卵の雄性前核にEFNaHをインジェクションした後、偽妊娠マウスの卵管に移植し、仔を得た。Southern blottingでスクリーニングしたところ、235匹の仔マウスのうち28匹に遺伝子が導入されていた。28系統のトランスジェニックマウスのうちの1系統では、導入遺伝子は特に、脳、肺、精巣で10-20倍程度の過剰発現を認めている。 本トランスジェニックマウスの平滑筋細胞の細胞内pH調節活性、および形質についてはさらに検討を行なう。
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