研究課題/領域番号 |
03454249
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 敏郎 東京大学, 医学部(分), 助教授 (10114125)
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研究分担者 |
高橋 克敏 東京大学, 医学部(分), 医員
下澤 達雄 東京大学, 医学部(分), 医員 (90231365)
安東 克之 東京大学, 医学部(分), 助手 (60184313)
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キーワード | 高血圧 / マグネシウム / 血管内皮細胞 / 内皮依存性弛緩因子 / 血管反応性 / 中枢神経系 / バロファンクション |
研究概要 |
高血圧症におけるマグネシウム(Mg)の問題は、その発症機序だけではなく心血管障害併発にもかかわる重要な課題であると考えられる。われわれは特に内皮細胞機能に対するMgの影響について検討した。ラット大動脈リングにおいては、ノルエピネフリン(NE)の収縮に対するアセチルコリン(Ach)の拡張作用に対して、細胞外液Mg濃度の変化は有意の影響を与えなかった。すなわち、急性の細胞外液Mg濃度変化が内皮細胞機能に影響するという成績は得られなかった。次に、正常ラット(Sprague-Dawleyラット)において慢性Mg欠乏状態ならびにMg負荷状態を作成した。Mg欠乏ラットでは血圧は有意ではないが上昇傾向を示した。NEによる収縮はむしろ低下していたので、血管反応性はむしろ代償的に低下している可能性が考えられた。しかも、この低下反応は内皮除去によって一部回復し、EDRFの産生亢進の可能性が示唆された。したがって、Mg欠乏による昇圧を代償して、内皮依存性弛緩反応が亢進し、結果的に血管反応性を低下させている可能性が示唆された。ここで、Ca負荷時の降圧は交感神経系の抑制に基づくことが我々を含めた多くの研究者によって証明されてきたが、最近の我々の成績によると、この抑制が中枢神経系を介している可能性が腎神経のバロファンクションの実験により示唆され、(14th Scientific Meeting of the International Society of Hypertension,Madrid 1992)、「天然のCa拮抗薬」と言われるMgも中枢神経系を介して降圧作用を示す可能性がある。さらに最近、内皮依存性弛緩因子(EDRF)であると考えられる一酸化窒素が神経伝達物質である可能性が示唆されている。そこで、従来の計画である(1)EDRFの遊離におけるMgの作用および(2)高血圧前状態におけるMgの血管内皮細胞での役割の解明に加えて、中枢交感神経におけるMgの役割とその高血圧発症維持との関わりについても検討する。
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