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1993 年度 実績報告書

慢性高頻拍刺激による可逆性心不全モデルに於ける興奮-収縮連関異常のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 03454250
研究機関富山医科薬科大学

研究代表者

麻野井 英次  富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00150128)

研究分担者 三羽 邦久  富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (70166221)
木原 康樹  京都大学, 附属病院, 助手 (40214853)
キーワード頻脈誘発性心不全 / 左室収縮・弛緩特性 / 不全心筋 / 陽性階段現象 / Ca2+トランジェント / 発生張力
研究概要

1.前年度までの研究で、1)頻拍誘発性心不全犬を用いた実験から、細胞内c-AMPを増加させる強心薬に対して不全心の収縮反応は著しく減弱するが、弛緩反応は正常心と同様に保たれること、2)さらにこの反応は収縮蛋白のCa2+感受性を増強する薬剤を用いても同様であること、が明らかとなった。そこで、かかる薬剤に対する弛緩反応の改善が心筋の非活性化過程と負荷条件のいずれの変化によるかを検討した。その結果、基礎収縮力が低下するほど、左室弛緩能の後負荷感受性が増大すること、感受性を変える要因として、収縮蛋白のCa2+感受性やelastic recoilに影響する収縮末期容積よりも、左室応力の収縮期時相の変化が重要であることがわかった。事実、収縮開始から最大応力までの時間と、左室圧下降脚の時定数とは良好な相関があり、不全心では強心薬によりこの収縮時相が大きく変化した。
2.強心薬とはことなった収縮刺激である陽性階段現象を、除神経状態の覚醒犬および心室筋で検討した。平均60拍/拍の心拍数の増加に対して心収縮性は正常心で71%増大したが、不全心では+24%に止まり、正常心で認められた頻脈による弛緩能の改善もみられなかった。同様の現象は心筋標本においても観察された。すなわち、不全心筋と正常対照では、1mM Ca2+存在下に最大発生張力には差を認めなかったが、刺激頻度を0.33Hzより増加させると、不全心筋では拡張期張力の上昇とともに、陰性階段現象が出現した。これら心筋切片のおけるCa2+トランジェエントは、正常心筋では筋小胞体に起因する一相性のスパイク状として記録されたのに対し、不全心筋ではその時間経過が著しく遅延していた。一部標本においては、スパイクに続くドーム状の第二相のトランジェエントが示され、同時に活動電位持続時間も著しく延長していた。
以上より、高頻拍誘発性心不全モデルは、ヒト末期心不全患者の丸ごとの心臓の収縮・弛緩異常や、単位心筋で示されたCa2+動態異常に相当する変化を再現できるモデルであると結論する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 木原 康樹: "“心筋機能不全の生化学"病的心筋における細胞内 カルシウムハンドリング-異常カルシウム流入と弛緩障害-" Jpn Circ J. 56. 1259-1262 (1992)

  • [文献書誌] Sasayama Shigetake: "Diastolic dysfunction in experimental heart failure." DIASTOLIC RELAXATION OF THE HEART. 195-202 (1994)

  • [文献書誌] Asanoi Hidetsugu: "Disparate inotropic and lusitropic responses to pimobendan in conscious dogs with tachycardia-induced heart faliure." J Cardiovasc Pharmacol. (in press).

  • [文献書誌] Asanoi Hidetsugu: "Neural modulation of ventriculoarterial coupling in conscious dogs." Am J Physiol. (in press).

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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