研究課題/領域番号 |
03454256
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 彰 九州大学, 医学部, 教授 (30038814)
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研究分担者 |
小林 誠 九州大学, 医学部, 助教授 (80225515)
今泉 勉 九州大学, 医学部, 講師 (60148947)
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キーワード | 境界型高血圧ラット / 食塩負荷 / 振盪ストレス刺激 / 高血圧 / 交感神経活動 / GABA / muscimol |
研究概要 |
境界型高血圧ラット(BHR)における食塩負荷時の血圧上昇には交感神経活動の亢進が関与すると考えられているが、その機序は不明である。本研究では中枢GABA系による交感神経活動抑制が食塩負荷により減弱することが交感神経活動亢進の原因である可能性を検討した。BHRとWKYに8%食塩食あるいは0.3%食塩食を5週間投与したのち、覚醒下にて動脈圧、心拍数および腎交感神経活動(RSNA)を記録した。食塩負荷によりBHRでは血圧上昇が生じたが(P<0.01)、WKYでは変化がなかった。正常食塩BHRでは、muscimol(M)(0.1,1.0μg)の側脳室内投与(ICV)により、動脈圧が軽度(-8±3mmHg)低下し、RSNAが著明に(+65±22%)増加した。一方食塩負荷BHRではM(ICV)により動脈圧が著明(-29±3mmHg)に低下したが、著明な降圧にもかかわらずRSNAは不変であった。すなわちM(ICV)による降圧時にRSNAの反射性亢進が抑制されていた。ニトログリセリン静注投与による降圧時の反射性RSNA増加は、BHRの両群間で相違がなかった(約+120%)。すなわち、正常食塩BHRに比して食塩負荷BHRでは、MによるGABA受容体刺激時に動脈圧がより著明に低下し、その時RSNAの反射性亢進が生じなかった。この成績は、食塩負荷BHRではMによる交感神経抑制がより大であったことを示唆する。前年度の研究成績とあわせて考えると、食塩負荷BHRでは中枢GABA系による交感神経活動抑制が減弱している可能性が考えられる。
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