研究課題/領域番号 |
03454257
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
泰江 弘文 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40174502)
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研究分担者 |
松山 公三郎 熊本大学, 保健管理センター, 助手 (20229587)
久木山 清貴 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00225129)
小川 久雄 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50177135)
奥村 謙 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20185549)
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キーワード | 冠攣縮 / アセチルコリン / ヒスタミン / 冠循環 / サブスタンスP / エンドセリン / tーPA / PAI |
研究概要 |
本研究者らはアセチルコリンを冠動脈内に注入することにより冠攣縮が誘発されることを証明してきた。今回の研究では、冠動脈攣縮の発生機序と臨床的意義を明らかにするために以下の研究を行なった。H_1受容体を刺激するヒスタミンを冠動脈内に注入することにより、29%の患者で冠攣縮を誘発しえたが、大部分の患者では冠動脈の拡張が認められた。また、心筋梗塞責任冠動脈に対するアセチルコリンの収縮反応は非梗塞部の冠動脈に比し著明であった。アセチルコリンによる冠攣縮誘発時の冠循環における検討では、57名の冠攣縮性狭心症患者のうち47名において冠攣縮時に冠血流量の増加が認められ、冠攣縮が生じても冠低抗血管は拡張していることが示唆された。さらに内皮依存性血管拡張物質であるサブスタンスPを冠攣縮を生じる冠動脈に注入することにより、冠動脈の拡張が認められ、冠攣縮部位においてもサブスタンスPを介する内皮依存性弛緩反応は保たれていると考えられた。近年強力な血管収縮物質として内皮由来のペプチドであるエンドセリンが注目されている。冠攣縮におけるエンドセリンの役割を調べる目的で、冠攣縮誘発時に冠動脈洞のエンドセリン濃度を調べたところ、心筋の乳酸摂取率が陰性となった患者は有意に上昇し、エンドセリンが冠循環中に分泌されることが示唆された。また、本研究者らは、冠攣縮において生体内トロンビン産生の指標であるフィブリノペプタイドAが増加することを証明してきたが、今回の研究においては、線溶系の面から検討を行ない、冠攣縮性狭心症患者において、組織プラスミノ-ゲンアクティベ-タ-(tーPA)およびプラスミノ-ゲンアクティベ-タ-インヒビタ-(PAI)を調べ、線溶系の指標であるPAI活性は亢進しており、線溶系は障害され、血栓が溶けにくい状態にあるが、治療とともにPAI活性は低下し、線溶系の障害は改善されていくことも証明した。
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