研究課題/領域番号 |
03454258
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
北浦 泰 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50084950)
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研究分担者 |
小出 尚志 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40195649)
出口 寛文 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90131341)
河村 慧四郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00026832)
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キーワード | 心筋炎 / 拡張型心筋症 / エンテロウィルス遺伝子 / コクサッキーB3ウィルス / マウス / ハムスター |
研究概要 |
臨床的研究として、心筋炎27例、拡張型心筋症45例、その他の心疾患25例の計97例についてPCR法によりエンテロウィルス遺伝子の検索を行った。検索領域は非翻訳領域(NC)、非構造タンパク領域(NS)およびポリメラーゼ領域(POL)の3カ所で、NCで陽性頻度が高い傾向を得た。陽性率は心筋炎で30%、拡張型心筋症で24%、その他の心疾患で16%と心筋炎で高く、全体としての陽性率は24%であった。諸種疾患におけるエンテロウィルス陽性例は発病や症状出現よりの期間が長い以外は、臨床像(心エコー所見など)および経過などに差はみられなかった。また、生検心筋において心筋炎を認めた例の陽性率は27%、心筋炎のないものは22%と差がなかったが心筋炎に限ると心筋炎ありに頻度が高かった。 基礎的研究としてコクサッキーB3ウィルス性心筋炎動物モデルにおける検討を行った。C3H/Heマウス、A/Jマウスとも急性心筋炎後もウィルス遺伝子が検出され、心病巣および附近の心筋細胞胞体内および間〓細胞の一部にみられた。また、ハムスターではマウスよりさらに長期間(6カ月間)ウィルス遺伝子が検出され、この動物の一部は拡張型心筋症様病像を呈した。心筋炎急性期後の光顕所見とウィルス遺伝子との関係は一様でなく炎症所見との間に相関はなかった。ウィルスセンスRNAとアンチセンスRNAの検索で急性期後も両者が検出され、ウィルスの複製が示唆された。 以上より、動物モデルではウィルス性心筋炎急性期後も心筋にウィルス遺伝子が存在し、複製が行われていると考えられる。この様な個体で拡張型心筋症様病像を呈するものがみられた。臨床においても心筋炎、心筋症患者の生検心筋にエンテロウィルス遺伝子が検出されるが、他の心疾患と差がなくその意味は尚不明である。
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