研究課題/領域番号 |
03454263
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邊 一功 名古屋大学, 医学部, 教授 (80135368)
|
研究分担者 |
前原 光夫 国立療養所, 中部病院. 小児科, 医長
麻生 幸三郎 名古屋大学, 医学部, 助手 (20231920)
柘植 郁哉 名古屋大学, 医学部, 助手 (00231431)
三村 俊二 名古屋大学, 医学部, 助手 (30229794)
森島 恒雄 名古屋大学, 医学部, 講師 (90157892)
|
キーワード | 急性脳症 / PCR法 / 二次性脳炎 / 新生児低酸素性虚血性脳症 / 合成トロンボキサンA_2 / 高グリシン血症 / Wernicke脳症 / 予後調査 |
研究概要 |
急性脳症の発症機序及び治療・予防に関する多角的研究を実施し、以下の結果を得た。(1)急性脳症・二次性脳炎の発症機序:単純ヘルペス脳炎再発例では髄液HSVーDNAが陰性の例もあり、再発では自己免疫の関与が示唆された。又、各脳炎・脳症で髄液細胞中のT細胞レパ-トリ-をPCRで調べ、末梢血に比べ髄液T細胞がオリゴクロ-ナルになることを確認した。現在、小児MS,急性散在性脳脊髄炎の髄液より、T細胞クロ-ンを樹立すべく研究中である。(2)新生児低酸素性虚血性脳症:合成トロンボキサンA_2の母獣への投与による新しい胎児発育不全モデル(ラット)を確立した。今後はこれを用いて胎児期の慢性虚血状態の及ぼす影響について、中枢神経系の適応不全という観点から検討していく。ビリルビン性脳症については、治療薬と期待される錫プロトポルフィリンについて、光照射との併用の可能性について調べた。結果はポルフィリン類固有の光線過敏性の問題に加え、錫プロトポルフィリン自体の光酸化によりヘムオキシゲナ-ゼ阻害活性の失われることが判明した。(3)先天性代謝異常症に伴なう脳障害について:非ケトン性高グリシン血症はグリシン解裂酵素の欠損により高グリシン血症をきたし、脳障害を生ずるが、脳の興奮性アミノ酸レセプタ-であるNMDAレセプタ-に対するグリシン作用が明らかになり、ケタミンの同レセプタ-に対する抑制効果をみた。(4)上記疾患にWernicke脳症を加え、多施設における前方視的研究,すなわち,脳波,頭部エコ-などにより各病態における脳機能、形態を評価し、予後との関連を見い出した。又、Wernicke脳症については全国調査を準備中である。 以上のように脳症の発症機序について、種々の病態における解析が進み、又、新生児高ビリルビン血症や高グリシン血症の脳障害に対する治療法の検討や、発症予防のための神経生理学的追跡調査が進行している。
|