研究概要 |
各種アレルギ-症患において重要な役割を果している好酸球の機能とその調節機構を明らかにするために、ヒト好酸球性白血病細胞株EoLー1、EoLー3および臍帯血より誘導される好酸球を用いて、好酸球の分化および活性化に対する各種サイトカインの影響を調べ、さらにその情報伝達機構について検討した。 EoLー1細胞の分化に関しては、GーCSFが好酸性顆粒を誘導し、TNFーαとの併用により顆粒誘導効果が増大したことより、EoLー1細胞の分化にGーCSFとTNFーαが関与していることが明らかとなった。EoLー3細胞の活性化指標としてFcαRの発現を調べたが、FcαRI,II,IIIは、IFNーγにより発現が増強した。ILー5により〓帯血から誘導された好酸球においても、IFNーγによりFcαRIIの発現が増強した。好酸球の分化や活性化に、さまざまなサイトカインが関与していることが示唆された。 次に、好酸球の分化、活性化における細胞内情報伝達機構について調べた。ジブチリルcAMPは細胞内cAMP濃度を上昇させるが、EoLー1細胞をジブチリルcAMPとともに培養すると、各種刺激後のActin polymenーzationや細胞内Ca^<2+>濃度の変化が増強し、またEoLー3細胞のFcαRの発現も増強することが示された。一方、ホルボ-ルエステルは、プロテインキナ-ゼCを活性化するが、EoLー3細胞のFcαRIIの発現を増強すると同時に、プロテインキナ-ゼC阻害剤であるHー7は、IFNーαやホルボ-ルエステルによるFcαRの発現増強を抑制したことより、EoLー3細胞のFcαRの発現に、プロテインキナ-ゼCが関与していることが示された。すなわち、好酸球の分化および活性化における細胞内情報伝達に、cAMPおよびプロテインキナ-ゼCが関与していることが示された。 今後はさらに好酸球やEoL細胞表面のその他の蛋白、例えば接着分子などについても検討する予定である。
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