研究課題/領域番号 |
03454265
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹下 研三 鳥取大学, 医学部, 教授 (90037375)
|
研究分担者 |
稲垣 真澄 鳥取大学, 医学部, 助手 (70203198)
小枝 達也 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (70225390)
河原 仁志 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (00186123)
|
キーワード | 結節性硬化症 / 酸性グリア特異蛋白 / マイト-ゲン / 細菌内毒素 |
研究概要 |
結節性硬化症は常染色体優性遺伝形式を示す疾患で、その疾患を引き起こす遺伝子は複数存在することが知られるが、その原因遺伝子の性質は明らかではない。結節性硬化症を特徴づける病変部は皮膚・網膜白斑、カフェオ-レ斑、脳の結節、皮膚腫瘍・パッチなど「斑状」におこることが多い。この疾患の原因を明らかにするためには、遺伝的にこの「斑状」の機構を明らかにする必要がある。 結節性硬化症の皮膚病変部からは脳アストログリア特異的な蛋白であるGFAPを発現した細胞が出現することが知られている。我々も免疫組繊学的、免疫電子顕微鏡学的に皮膚腫瘍から培養された細胞中に、GFAPを産生する細胞が種々の頻度で出現することを観察し、その中間系フィラメントが脳のグリア細胞と同様ビメンチンとGFAPで協同構築されていることを確認した。この結果から、『突然変異によって結節性硬化症の遺伝子産物が半分になることで、発生の過程で通常の皮膚細胞や脳細胞に分化できなくなった細胞が出現し、正常に分化した細胞の間に混在し、この細胞が正常組繊と異なった蛋白を発現し「斑状」病変を作る。この分化のあやまりを持つ細胞群が、体液中の細胞増殖因子や外界の増殖刺激因子に対し、正常細胞とは異なった反応を示し、皮膚などに腫瘍性病変を作る。』仮説を考えた。我々は、GFAPを産生するひと脳グリア細胞の増殖が細菌内毒素によって促進されることを見いだし、結節性硬化症皮膚病変部細胞の増殖にあたえる細菌内毒素の影響をみた所、5例中2例由来の皮膚腫瘍細胞が細菌内毒素によって、脳グリア細胞と同じように増殖が刺激されることを見いだし、先の仮説が実際に起こっている可能性を示唆した。この所見は臨床的にも顔面などの皮膚腫瘍の一部は脂腺分泌の多い部分(感染などの刺激を受け易い部位)に発生し易いこととよく調和している。
|