研究概要 |
1.ビリルビンによる活性酸素の非酵素的消去機構の基礎的検討について;活性酸素により生成したビリルビンの分解産物をHPLCを用いて測定条件を設定した。更に,ビリルビン酸化酵素をビリルビンに作用させることによりその酸化物を作成し,HPLCにより分離条件を検討し設定した。しかしビリルビンの酸化物質であるpropentdyopent非常に極性が強いので純化に難渋し,その構造を決定する為の機器分析は現時点では不成功に終った。 2.活性酸素発生の検出とその発生量に及ぼすビリルビンの効果と尿酸についての検討;新生仔豚を用いて気管支肺異形成のモデル動物の作成を目標として,無呼吸負荷後の100%酸素による蘇生時の活性酸素の発生についてin vivoで且つin situの状態で極微弱発光検出器を用いて活性酸素発生量が増加していることを立証することに成功した。従ってその発生量の増加予防法を確立する為に,疎水性のantioxidantであるビリルビンの水溶液を作成し,それを持続注入して黄疸を惹起させその効果について検討したが,活性酸素の発生量の減少は認められなかった。その為親水性のantioxidantである尿酸の水溶液を作成し,それを持続注入して細胞外液中の尿酸濃度を上昇せしめその予防効果を検討した所,活性酸素の発生量の減少が認められた。 3.allantoinのHPLCによる測定法の検討;allantoinの側鎖の-NH_2基はO-phthalaldehydeと反応しないことが明らかになったので新しい方法を開発する必要性のあることが判明した。 4.oxidative stressのヒト血清アルブミン(HSA)による検出方法の検討;mercapt HSAの総HSAに占める割合(f_<HMA>)をHPLCで高感度(従来の100倍)で測定方法を確立した。今後はその臨床的意義について検討したい。
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