ケラチノサイトの合成するタンパクを^3Hプロリンで標識し、類天疱瘡患者血清を用いて免疫沈降法をおこなったところ190kd(KC1)、120kd(KC2)タンパクが特異的に認められた。この結果KC1、KC2いづれのタンパクも類天疱瘡抗原タンパク(BPAG2)であることが示唆された。 KC1とKC2タンパクをSDSアクリルアミドゲルより抽出し、V8プロテアーゼ消化を行ったところ両者のペプチドマップは一致した。以上の結果は120kd(KC2)は190kd(KC1)タンパクより由来し190kd(KC1)タンパクは類天疱瘡抗原タンパク(BPAG2)と一致するものと思われた。BPAG2タンパクcDNAはすでに単離されておりコラーゲン様タンパクであることが知られている。 KC1、KC2コラーゲンの機能を知るために基底膜成分との結合をbinding assayにて検討した。DEAEセルロースクロマトグラフィーにてpartiallyに精製した。この試料を用いてI型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンを各々コートしたディッシュに添加し一定時間反応させた後洗浄し、ディッシュに残存するカウントを測定した。その結果他の成分に比べてフィブロネクチンに有意に結合することが判明した。一方ケラチノサイトの上記のディッシュへの結合を検討した結果やはりフィブロネクチンに最も結合しやすいことがわかった。このことはケラチノサイトと基底膜との結合は主にフィブロネクチンとの結合を介していること、その結合の少なくとも一部はKC1、KC2とフィブロネクチンとの結合によっていることが示唆された。
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