研究課題/領域番号 |
03454277
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
窪田 和雄 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (40161674)
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研究分担者 |
山田 進 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70182532)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | ポジトロン断層 / 腫瘍核医学 / 腫瘍再発 / 放射線治療 / 11Cメチオニン / オートラジオグラフィー / 18Fフルオロデオキシグルコース / Macrophages / Lung cancer |
研究概要 |
ポジトロン標識薬剤^<11>Cメチオニン(Met)の腫瘍への集積は、放射線治療後、壊死の拡大や体積の縮小に先行して鋭敏に反応し、治療効果判定の先行指標となる可能性があることを我々は明かにした。本研究ではこれを更に発展させ、再発予知診断の実験的研究、ポジトロン断層(PET)を用いた臨床研究への応用と検証、そしてオートラジオグラフィー(ARG)による、^<18>Fフルオロデオキシグルコース(FDG)の腫瘍内分布の実態の細胞レベルでの解明を行った。 FDG、Met、^3Hチミジン(Thd)の腫瘍集積が放射線治療後どのように変化するかを比較したところ、Thdが照射後最も早期に低下し、次いでMet、FDGの順であった。これを組織所見と比較すると、FDGは壊死の変化と平行し、生存細胞の割合と一致する。Thdはこれよりも低く、増殖の指標である。Metら両者の中間であるがThdに近かった。10Gy照射後腫瘍再発時には、体積の増大に先行してMetの集積増加が認められ、再発予測の可能性が示唆された。肺癌21例の放射線治療前後にMetによるPETを行い、臨床経過と比較した。Met-PETにより治療後4ヶ月前後の早期再発を予測することはできたが、一年近い後に起きる再発は予測することができなかった。 我々はこれまでにだれも行ったことがない、^<18>FによりミクロARGの技術開発を行い、定量性、解像力、潜像退行などの問題を解決し、FDGの腫瘍への分布を細胞レベルで解析した。FDGは腫瘍内で腫瘍細胞以外にマクロファージなどの免疫細胞、線維芽細胞など若い肉芽組織にきわめて高い集積を示すことが明かとなった。これは、放射線治療後の腫瘍のFDG-PETで報告されている治療後の炎症反応への集積の裏付けとなるものである。更に、これら腫瘍を構成する各細胞成分により、FDGの集積動態が異なることも明らかにされた。これは、画像解析により、炎症と腫瘍の鑑別の可能性を示す重要な発見である。
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