研究概要 |
本研究では、SPECT画像に混入する散乱線の除去を行う方法を確立することを目的としている。具体的には、ガンマカメラでデ-タを収集する際に、デ-タ収集領域を1cm×1cmに分割し、この局所領域毎に3つのエネルギ-ウィンドウを用い、実時間で散乱線の除去を行うというものである。本年度は、この方法の有効性を基礎的なシミュレ-ションと実験から明らかにした。 まず、シミュレ-ションによる散乱成分の正確な推定に関しては、モンテカルロ法を用いて様々なファントム形状(円柱型 半径8、10、12.5、15cm)、線源の集積状態(線線源および円柱線源(半径1,3,5cm)について2種類の位置)、核種(Tlー201,Tcー99m,Iー123)に関して行うことで、現在想定できる散乱パタ-ンをほぼ網羅したと考えている。実際の臨床をモデルとしたシミュレ-ションについては、発生させる光子の数を500万、1000万、5000万、1億、2億個と変化させることで、臨床で用いるカウントレベルを再現し、提案するアルゴリズムの有効性に関して十分に評価することができたと考えている。提案する散乱線除去の有効性に関する検討に関しては、簡単なモデルならびに臨床系を模擬したモデルに対して調査した。この検討では、メインウィンドウの大きさ、並びにサブウィンドウの大きさを変化させることで、散乱線除去の程度を評価することができた。また、サブウィンドウの位置に関しては、実際のガンマカメラシステムでは、サブウィンドウをメインウィンドウに重ねることができないという問題が生じたため、サブウィンドウの位置をメインウィンドウの両わきに設定することで、この問題を回避した。また、このような状況のもとでのシミュレ-ションを実施したが、ほとんどその補正効果が最初に提案していた方法と変わらないことが明かとなった。
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