研究概要 |
(1)精神分裂病,アルツハイマー病及び正常対照群の死後脳のG蛋白質の検討:愛知県コロニーの浅野と加藤両博士が開発したエンザイムイムノアッセイ法を用いて,これらの疾患の死後脳の各脳部位におけるGo及びGi-2のαサブユニットを測定した。前頭眼〓画,海馬,海馬旁回,被殼,尿状核,側頭葉外側面について検討し,SAS TypeI,II,IIIを用いて推計学的に検討したところ,Gi-2αはいずれの部位でも有意差を認めなかった。一方,Goαは右側の海馬でのみ対照群の同部位と比較して低下していた(診断一部位インタラクションを認めた)。この結果は百日咳蓄累によるADPリボシル化反応を用いた測定の結果と反する結果であったが、Goのコンホメーションの異常が左あるいは右海馬で存在する可能性を示している。アルツハイマー病については例数が少なく,対照群との統計学的検討を行うことが出来なかった。 (2)ウエスターン・ブロット法によるG蛋白質αサブユニットの測定:エンザイムイムノアッセイ法ではGi-1αを測定する充分な抗体を確保できず,正確な検討が出来なかったので,ウエスターン・ブロット法を用いて検討した。精製せずに用いた検体では抗体と充分な抗原抗体反応をうることが出来なかったが,充分精製した純蛋白では定推的な検討が可能となった。まだ統計的検討を行うに充分なデータを得ていない。 (3)ノーザン・ブロット法によるG蛋白質遺伝子の検討:東大薬学部宇井教授と星野助手との共同研究で,ノーザン・ブロット分析法を用いてGi-1α,Gi-2α,Goαの遺伝子発現を検討しているが, 用いた検体の蛋白質が変性をきたしていたため,正確な結果をうることが出来なかった。
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