研究課題/領域番号 |
03454288
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 健 大阪大学, 医学部, 教授 (70028455)
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研究分担者 |
新川 久義 大阪大学, 医学部, 助手 (70243227)
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 講師 (00179649)
播口 之朗 大阪大学, 医学部, 助教授 (10028459)
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キーワード | アルツハイマー病 / バッフィコート / 接種実験 / ニューロフィラメント / ハムスター / 血小板 / アミロイド蛋白 / ユビキチン |
研究概要 |
クロイツフェルト・ヤコブ病の接種実験の成功によりクロイツフェルト・ヤコブ病の感染性因子が同定され「感染性痴呆症」の概念が確立すると共にアルツハイマー病の接種実験が試みられてきた。アルツハイマー病の感染可能性は示唆されているものの、アルツハイマー病患者脳組織の接種により実験動物にアルツハイマー病変を作成したとの報告はない。本研究では、アルツハイマー病患者から入手可能な生物学的材料を検討し、血液から調整したバッフィコートの接種実験を行なった。アミロイドβ蛋白前駆体遺伝子に突然変異を有するアルツハイマー病家系、突然変異を有さないアルツハイマー病家系、非家族性アルツハイマー病患者について、バッフィコートを調整し週齢6週のハムスター脳内に接種した。18ケ月間動物を飼育した後、実験動物脳について神経病理学的に検討した。いずれのアルツハイマー病患者から得たバッフィコートについても、ハムスター脳の脳幹部神経核に多数の抗ニューロフィラメント抗体陽性の神経細胞が観察された。この病変は対照健常者から得たバッフィコートを接種した動物脳には認められず、アルツハイマー病患者のバッフィコートにはこのような特徴的な病変を引き起こす因子が存在していることが明らかになった。この病変はニューロフィラメント線維の増生であり、リン酸化されておりしかもユビキチン化されていることを明らかにし、この病変とアルツハイマー病脳の線維性構造物との類似性を明らかにした。また、病変惹起因子の性質を明らかにするためにバッフィコート分画の接種実験を行った。その結果、血小板分画に病変惹起因子が含まれていることが明らかになった。
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