研究課題/領域番号 |
03454291
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮川 太平 熊本大学, 医学部, 教授 (90040542)
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研究分担者 |
山下 健昭 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (10230418)
桂木 正一 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00161092)
倉元 涼子 熊本大学, 保健管理センター, 助教授 (90109661)
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キーワード | アルツハイマ-病 / 老人斑 / アミロイド線維 / αー1アンチキモトリプシン / 脳血管単離法 / 電子顕微鏡 / 基底膜 |
研究概要 |
α1ーアンチキモトリプシンの抗体を用いて、非痴呆脳とアルツハイマ-病の脳を光顕ならびに電顕免疫組織化学的手法を用いて検索した結果、非痴呆脳では陽性反応を認められなかったが、アルツハイマ-病脳では星状膠細胞、血管内皮細胞とともに老人斑の芯を形成するアミロイド線維の部分にも証明された。このことから、アミロイド線維が形成される過程に於て、α1ーアンチキモトリプシンは重要な役割を果たしていることが分かった。 老人斑の連続切片を電顕的に詳細に観察することにより、血管基底膜で形成されたアミロイド線維が脳実質に伸び出し、ミクログリアがそれを取り囲む事を証明した。このことは、老人斑の中に存在するミクログリアの役割の一つを説明するものであると考えられる。また、同時にミクログリアの胞体内部でアミロイド線維が形成される可能性が否定された。 通常の包埋法による透過型電子顕微鏡の検索と併せて、ヒトの脳から血管を取り出す方法を確立し、表痴呆脳とアルツハイマ-病脳の微小血管を光顕および走査型電子顕微鏡で検索し、以下のような結果を得た。 透過型電顕の結果では、微小血管の内皮細胞の変性と基底膜の把厚と多層化、捻れ等が証明された。また、分離した血管の観察では部分的な狭小化、走行の捻れ等の病変が観察され、アルツハイマ-病で臨床的に知られている大脳皮質の血液循環量の減少を裏付ける形態的表現と考えられた。
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