研究課題/領域番号 |
03454293
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
新井 平伊 順天堂大学, 医学部, 講師 (50167988)
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研究分担者 |
南 雅之 順天堂大学, 医学部, 助手 (50229770)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 助手 (60211067)
河村 哲 順天堂大学, 医学部, 助手 (20204779)
一宮 洋介 順天堂大学, 医学部, 講師 (10184631)
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キーワード | アルツハイマ-病 / 老年痴呆 / 神経伝達物質 / セロトニン / 神経ペプチド / ヒト脳 |
研究概要 |
本研究計画は、視床下部を中心にしてセロトニン作動系と神経ペプチドの相関を明らかにし、さらにセロトニン作動系の補充療法がアルツハイマ-型痴呆(ATD)の治療法として可能性があるかどうか検討することを目的としている。初年度に当たる今年度は、予定通り研究を実施し、下記のような成果を得た。 1.方法論の確立:マイクロプレ-ト用自動洗浄装置を購入し、神経ペプチドを定量的に測定するための酵素免疫法を確立した。 2.ラット脳およびヒト剖検脳における分布:両者の脳においてほぼ同様の分布が確認されたが、セロトニンおよびその代謝産物5ーHIAA、ガラニン、ソマトスタチンは脳内に広く分布し、バソプレッシン(AVP)や副腎皮質ホルモン放出因子(CRF)は視床下部に高濃度に検出された。 3.セロトニン再取り込み阻害薬を用いた研究:セロトニン再取り込み阻害薬を用いて脳内セロトニンを補充したラットにおいて各神経ペプチドの変化を検討したところ、視床下部におけるCRFやAVP濃度の低下、血中副腎皮質刺激ホルモン、AVP、コルチゾル濃度の上昇が認められた。セロトニン作動系により視床下部ー下垂体ー副腎皮質系が増強されることが示唆され、セロトニンと神経ペプチドの相互作用のひとつが明らかになった。 4.ATD脳における変化:患者剖検脳における生化学的検討により、ATDにおいてはセロトニン、5ーHIAA、ソマトスタチン濃度の減少およびガラニン濃度の増加する所見が確認された。 初年度に得られた所見をもとに次年度においては、上記所見に対応するような形態学的変化を検索し、セロトニンとペプチドの関係をさらに検討していく予定である。
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