研究分担者 |
木村 通宏 順天堂大学, 医学部, 助手 (50234381)
野口 岩秀 順天堂大学, 医学部, 助手 (30237820)
南 雅之 順天堂大学, 医学部, 助手 (50229770)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 助手 (60211067)
一宮 洋介 順天堂大学, 医学部, 講師 (10184631)
|
研究概要 |
本研究計画は,視床下部を中心にしてセロトニン作動系と神経ペプチドの相関を明らかにし,さらにセロトニン作動系の補充療法がアルツハイマー型痴呆(ATD)の治療法として可能性があるかどうかを検討することを目的としている。最終年度に当たる今年度には,以下のような成果が得られた。 1.セロトニン再取り込み阻害薬(ZD211)投与ラットにおいて,脳内の生体アミン類濃度と血漿中生体アミン類濃度の変化を測定し,両者間の相関を検討したところ,セロトニン作動系やノルアドレナリン作動系においては有意な相関は得られなかったが,ドーパミン作動系においては血漿中ホモバニリン酸濃度と前頭葉ドーパミン濃度との間に有意な相関がえられ,脳内の変化を反映する末梢のマーカーとしてはバーパミン系のみ有用であることがわかった。この所見は,マプロチリンを投与中のうつ病患者における投与前後の生体アミン類の検討からも支持された。 2.生体アミン類の神経伝達を増強させるとされる脳代謝改善薬が投与されている症例においてその血中濃度を検討したところ,予想を越える大きなばらつきがあることが明らかになった。 昨年度までの結果からATD治療薬の可能性が示唆されたセロトニン再取り込み阻害薬について,脳内の生体アミン類の変化を反映させるような末梢のマーカーは現時点では見つけられなかったが,その有効性を検討する際には薬剤の血中濃度にも十分配慮が必要であることが示唆されたといえる。
|