精神分裂病患者剖検脳におけるドーパミン受容体異常の免疫組織,酵素免疫化学的研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03454294
• 研究機関: (財)東京都精神医学総合研究所
• 研究代表者: 池田 和彦 東京都精神医学総合研究所, 超微形態部門, 副参事 (30124663)
• キーワード: 精神分裂病 / 脳 / ドパミン / ドパミン受容体

研究概要

本年度はD3およびD4受容体にたいする合成ペプチド抗体の作成と、それによる免疫組織化学のため適用条件の検索を主眼とした。この結果、D4受容体にたいする、力価の高い家兎抗体を得ることができた。これを用いて、ラットの脳組織で免疫組織化学のための固定条件を検討した。フォルマリン、アルコール、ブアン、ザンボニー、電子レンジ固定などをおこなった切片でしらべたところ、ブアン固定が最適であることが判明した。そこで、この条件でラット脳の連続切片をしらべ、D4受容体は、脳皮質で層状に分布していること、海馬の終板に多量に局在していることを明らかにした。また、共焦点レーザー走査型顕微鏡での検索からは、海馬終板でのD4受容体蛋白は前シナプス部に局在することが明かになった。現在、人剖検脳においてこの抗体で免疫組織化学的検索が可能な条件を検討中であり、至適条件が判明すれば分裂病患者剖検脳について検索をすすめる予定である。

研究成果

• [文献書誌] 池田 和彦: "分裂病:自己免疫疾患へのPNIの導入" imago. 3. 112-121 (1992)
• [文献書誌] Namba,Y.,Kawakatsu,K.,Izumi,S.,Ueki,A.and Ikeda,K: "Neurofibrillary tangles and senile plaques in brain of elderly leprosy patients." Lancet. 340. 978- (1992)
• [文献書誌] Mizuguchi,M.,Ikeda,K.and Kim,S.U.: "β-Amyloid precursor protein of Alzheimer's desease in cultured bovine oligodendrocytes." J.Neurosci.Res.32. 34-42 (1992)
• [文献書誌] Mizuguchi,M.,Ikeda,K.,and Kim,S.U.: "Differential distribution of cellular forms of beta-amyloid precursor protein in murine glial cell cultures." Brain Res.584. 219-225 (1992)
• [文献書誌] (共著)池田 和彦: "神経病理学ー基礎と臨床" 朝倉書店, 492 (1992)