研究課題/領域番号 |
03454303
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
門田 守人 大阪大学, 医学部, 助教授 (00127309)
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研究分担者 |
堂野 恵三 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
金井 俊雄 大阪大学, 医学部, 助手 (50205051)
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助教授 (50162160)
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キーワード | ラット / 同所性肝移植 / 免疫寛容 / oral tolerance / antigen presentation / 経門脈的投与 |
研究概要 |
現在までに以下の研究結果を得ている。最初にACIからBUFを用いたラット同所性肝移植の実験において、術前ドナ-リンパ系細胞投与による移植肝生着延長効果について投与経路の違いによる差を検討した。静脈内投与群は8例中7例が術後10時間以内に超急性拒絶にて死亡したが、門脈内投与群(n=7)は全例が100日以上生存した。ドナ-抗原門脈内投与における系特異性の検討では、Third partyとしてF344のリンパ系細胞を術前門脈内投与したのちにACIからBUFの組合せで肝移植を行なったが、生着延長効果は認められなかった。また長期生存肝移植ラットの免疫状態を調べるために、上記の組合せにおいて術前経門脈的にドナ-リンパ系細胞投与した後に肝移植を行ない60日以上生存しているラットに、ACI及びF344の皮膚を移植した。F344の皮膚はコントロ-ル群と同様に拒絶されたがACIの皮膚は生着した。以上より術前リンパ系細胞の門脈内投与における免疫抑制効果はドナ-特異的であるとともに、移植肝生着ラットにはドナ-特異的な免疫寛容が誘導されていることが明らかとなった。次に、門脈内投与における免疫抑制効果のメカニズムを解析する目的にて、門脈内投与抗原の臓器への集積を調べた。ACIからBUFの系において投与した後の ^<51>Cr標識リンパ系細胞の肝、脾への集積率を投与経路の違いにより比較すると、門脈内投与群では、25%、19%、静脈内投与群は18%、24%で、門脈内投与群は静脈内投与群に比して、有意に(p<0.05)肝内への集積率が高かった。このことより、投与されたドナ-リンパ系細胞の肝内集積が上記の免疫抑制の重要な因子であることが示唆された。以上の研究結果をもとに、今後は門脈内投与抗原の処理過程の分析を目的とし、1)In vitroにおける門脈内投与抗原処理のモデル化、2)門脈内投与抗原と肝単核球との免疫反応の解析や、臨床応用を目的として実用的な抗原の投与方法について、検討を重ねる。
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