研究課題/領域番号 |
03454313
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
深尾 立 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50091921)
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研究分担者 |
石川 詔雄 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50134226)
大原 潔 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10034125)
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キーワード | 膵癌 / 肝転移 / フィブリン糊 / 放射線治療 |
研究概要 |
目的:膵癌治療成績向上の鍵である、膵癌切除術前後の肝転移抑制補助療法のとして、1.術中に癌占居部位膵動脈内に、抗癌剤とフィブリン糊を詰め、癌占居部位に満たした抗癌剤が流出せぬようにし、術中癌細胞血中散布を防ぐ。 2.術前放射線照射により、手術持機期間中の癌発育阻止、肝転移の抑制および術中癌細胞の血中散布防止を図る。以上の2課題を目的として研究を行っている。 方法と結果:1.フィブリノーゲンとトロンビンの血管内注入条件を検討した。市販医療用フィブリン糊(ベリプラスト)を使い、付属トロンビン液濃度を希釈することにより凝固時間調節が可能となったことから、実験に使うこととした。 2.一度凝固したフィブリンが一定時間後に溶解する条件を決定した。アプロチニンを除いたベリプラストにプラスミノーゲンアクチベータを加えただけでは、フィブリン溶解は起きないことを昨年度実験で認めたが、今年度再実験を行った結果、昨年度と逆の結果が得られた。現在その現象がベリプラストのロット差によるものか否か検討している。 3.上記のin vitroの実験から得られた条件で、イヌの腸間膜動脈および膵支配動脈内にフィブリン糊を注入し、塞栓状況、フィブリン糊溶解状況を確認するとともに、その動脈支配領域の組織学的変化を検討した。今回の条件では、in vivoではプラスミノーゲンアクチベータを加えずともフィブリン溶解が2時間程度で起きた。In vivoのフィブリン溶解時間を遅くする方法を来年度検討する必要がある。 4.サルとイヌを使った膵への放射線照射実験は来年度行う予定である。 5.術前照射開始前の筑波大学付属病院における膵癌治療の成績を総括したところ、肝転移率が高いが、膵癌切除、非切除群ともに照射症例の生存率が若干良好であった。なお、術前照射を本年度から開始した。
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