研究課題/領域番号 |
03454314
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
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研究分担者 |
岡住 慎一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員
榎本 和夫 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70223659)
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キーワード | ポジトロンCT / ^<11>C-メチオニン / ^<18>F-FDG / 肝機能評価 / 癌の悪性度評価 / 癌診断 |
研究概要 |
^<11>C-methionine(^<11>C-MET)水溶液を用いて臨床検討を行った。肝、膵、食道癌症例を対象としたが、前二者に関しては^<11>C-METが非癌部肝と非癌部膵に強く集積するため、画像上両者はcold in hotとなり、大きな癌を除いて解析が困難であった。一方、食道癌では^<18>F-FDGと同様陽性画像として描出されることから、糖代謝だけでなくアミノ酸代謝も加味した評価ができる可能性があると考えられる。現時点では症例数が少なく、十分な検討を行えないため、今後さらに症例を重ねて糖代謝、アミノ酸代謝の両面から消化器癌の特性を検討する方針である。^<11>C-METを用いて閉塞性黄疸肝症例を対象として、ポジトロンCT(PET)画像から分肝機能評価、血漿の分析から肝臓全体としての機能評価の可能性を検討した結果、極端に肝機能が低下した部位はPET画像で見分けることができ、この点での有用性を確認できた。しかし、他の多くの黄疸肝症例では減黄後肝への^<11>C-METの集積度が低下するものの、十分減黄された時点でなくとも肝への集積度が正常肝と同等になる傾向があり、PET画像を用いた黄疸肝の分肝機能評価に関しては今後に問題を残した。今後、^<11>C-METの肝への集積の意味について実験的に検討する方針である。血漿蛋白分画中の^<11>C放射能濃度の推移をみると、黄疸肝症例では正常肝と比べて^<11>C放射能濃度が高く、黄疸肝では肝蛋白合成能が亢進するという従来の報告(in vitroにおける報告)と一致した。このことは、血漿の分析により肝臓全体の障害度を術前に評価できる可能性を示しており、肝切除を伴う閉塞性黄疸肝症例の手術時期を決定する際に有用と考えられた。
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