研究課題/領域番号 |
03454315
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 徹 東京大学, 医学部(病), 助手 (70134559)
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研究分担者 |
下村 一之 東京大学, 医学部(病), 助手
万代 泰嗣 東京大学, 医学部(病), 講師 (80143444)
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キーワード | 腸間膜動静脈シャント / 部分的門脈動脈化 / 拡大手術 / 肝動脈遮断 / 広汎肝壊死 / 肝組織血流量 / 肝組織酸素分圧 / 肝管血流 |
研究概要 |
1.肝・胆・膵領域拡大手術における手術時あるいは手術後の肝動脈血流途絶時に起き得る広汎肝壊死・肝不全を、門脈の酸素化を目的とした腸間膜領域動静脈シャント作製術により防止し得ることを実験的に明らかにすることを目的とした。2.予備実験1として、3頭の雑種成犬に肝動脈結紮を行い、経時的に肝生検及び血液生化学検査及び肝組織血流量・肝組織酸素分圧の測定を行い、肝動脈結紮により肝細胞壊死がどの様に進行するかを検討したところ、肝動脈結紮に伴い急激に肝組織血流量・肝組織酸素分圧は低下し、肝逸脱酸素は経時的に増加し、組織学的には肝小葉中心壊死を主体とした広汎肝細胞壊死と胆管壊死が観察された。3.予備実験2として雑種成犬5頭に腸間膜動静脈シャントを作製し、1週毎に再開複してシャント流量の変化を観察する予定でいたが、シャント作製1週後にシャントが開存していたのは1頭のみであった。雑種成犬では吻合した血管が極めて細く吻合手技が困難であったことが原因と考えられたため、以後の実験には大型犬を使うこととした。当初大型犬においてもシャントの開存が得られなかったが、ようやく最近になって血管吻合手技の向上によりシャントの開存が得られるようになった。肝組織血流量・肝組織酸素分圧は、シャント作製直後は変化はみられなかったが、1週間後にはシャント流量の増加により有意な増加が認められた。4.実験動物を大型犬に方更し、流量可変型ロ-ラ-ポンプを用いて作製した腸間膜動静脈シャント犬において、肝胆管血行動態・肝組織・肝機能・全身血行動態の変化を検討する急性実験を、PO2モニタ-装置等を用いて開始したところである。まだこの急性実験で得られたデ-タは僅がであるが、腸間膜動静脈シャント作製による肝動脈遮断時の肝細胞壊死防止効果が明かになりつつある。
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