研究課題/領域番号 |
03454319
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仁尾 義則 京都大学, 医学部, 助手 (20208119)
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研究分担者 |
大塩 学而 京都大学, 医学部, 助手
真辺 忠夫 京都大学, 医学部, 講師 (80127141)
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キーワード | 急性膵炎 / 膵血流 / ブラディキニン / プロスタグランディン / セロトニン / ヒスタミン |
研究概要 |
急性膵炎の発生過程に活性酸素が関与するか否かを虚血再環流モデルを用いて検討すると、虚血に再環流を負荷した場合、血中膵酵素の上昇とともに組織学的に細胞浸潤、腺房細胞内の空胞変性がみられるとともに活性酸素消去剤の投与によりこれらの変化が有意に抑制されることが明らかとなった(平成3年度)。このことより、急性膵炎の発生過程に膵組織血流が重要な役割を演じることが示唆されるため、本年度は、膵炎発生早期における膵血流重態を門脈血中の血管作動性物質の動態との関連において検討した。 体重10-16Kgの雑種成犬12頭を呼吸調節下に開復し、副膵管を結紮の上、主膵管より逆行性に自家胆汁を注入して急性出血壊死性膵炎を作成し、大腿動脈圧とともに電磁血流計を用いて胃十二指腸動脈及び上腸間膜動脈血流量を6時間にわたり記録した。また門脈血を経時間に採血し、ブラディキニン、プロスタグランディンE_2(OPGE_E)、セロトニン(5HT)、ヒスタミン、アミラーゼ、リパーゼの測定を行った。その結果、膵炎の発症に伴い、平均動脈圧と上腸間膜動脈血流は漸減し、胃十二指腸動脈血流は、30分後まで一且減少したのちやゝ上昇し、再び低下していった。門脈血中ブラディキニンは20分後まで急増し、以後漸減した。PGE_2と5HTはブラディキニンに遅れて1〜3時間後に上昇する傾向を示したが、ヒスタミンには有意な変動はみられなかった。アミラーゼ、リパーゼは次第に上昇していった。 これらの結果より、膵炎の発症進展機序として、血流低下、血管作動性物質、就中、ブラディキニン、PGE_2、5HTの上昇が細胞レベルで活性酸素優位をもたらし、膵障害が惹起される可能性が示唆された。
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