研究分担者 |
大植 雅之 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
武田 力 大阪大学, 医学部, 助手 (80236471)
冨田 尚裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00252643)
門田 卓士 大阪大学, 医学部, 助手 (20174477)
島野 高志 大阪大学, 医学部, 講師 (80144476)
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研究概要 |
ヒト大腸癌100例以上にOK-432 5KE/fibrinogen 80mgの混合液を局注して切除標本を解析した結果,この療法によって癌間質に誘導された遅延型アレルギー反応が癌の退縮に寄与していることが判明した.その過程で働いている細胞性免疫の主体はCD4+Tリンパ球で,これをin vitroで増殖させて解析した結果,このリンパ球は細胞表面にICAM-1を強く発現し標的細胞に強く接着して,lymphotoxinをeffector moleculeとして放出していることが分かった.また,所属リンパ節のBリンパ球を用いたハイブリドーマ作成法による解析で,液性免疫としては癌に特異性の高いイムノグロブリンが関与している可能性が示された.こうした反応は大腸癌ばかりでなく乳癌や甲状腺癌についても誘導され,それぞれの癌でcytotoxic T細胞や癌反応性のヒト型イムノグロブリンを産生するハイブリドーマが作成できた.OK-432/fibrinogenによる免疫療法は,癌の転移巣についても有効で,大腸癌肝転移巣に対する経皮的局注をおこなった7例では,血中腫瘍マーカー値の低下や画像上の腫瘍縮小が経験された.さらに,この療法をmodifyして,肝動脈内に留置したカテーテルを通して腫瘍の栄養血管に塞栓療法を施行したところ,肝癌でも有効例のあることが明らかになりつつある.この場合は,まず動脈内でOK-432を含有するfibrin clotが形成され腫瘍の一部が阻血壊死に陥る一方,時間経過とともに再開した血流によってOK-432の緩徐な放出がおこり,それを貧食したマクロファージから放出されるサイトカインが直接癌巣に作用して特有の変化がおこるものと推定され,肝癌治療のneckであるdaughter結節にも強い融解壊死が誘導されていることから,予後の向上に期待がよせられている.このようにfibrinogenはBRMの効果を著しく高める効果を有することが本研究から明らかになった.
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