研究課題/領域番号 |
03454322
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 敞 山口大学, 医学部, 教授 (20026834)
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研究分担者 |
韓 正根 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (00234146)
内山 哲史 山口大学, 医学部, 助手 (90136177)
浜中 裕一郎 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (40189618)
村上 卓夫 山口大学, 医学部, 助教授 (10091216)
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キーワード | 膵頭十二指腸切除 / 胃膵相関 / 膵広範切除 / 膵再生 / 膵外分泌機能 / インスリン分泌 / 消化管ホルモン分泌 / 酸分必 |
研究概要 |
1.実験的研究 実験的に膵広範切除を施行し、これを全胃幽門輪温存群と胃全摘付加群とに分けて追跡したところ、前者では耐糖能、インスリン分泌ともに障害が軽く、残存膵のラ島の変性も軽度であった。またこれにtrypsin inhibitorを経口投与することにより、残膵の機能障害をさらに軽減せしめ、膵の機能的ならびに器質的再生を促すことができた。しかしながらこのtrypsin inhibitorの服用を中止すると、一旦再生した膵は急速に退縮して、服用前の状況に近づいていくことも判り、同薬剤効果にも限界のあることを知った。従ってtrypsin inhibitorは術後安定期に亘るまでの変動期をのりきるために一過性に投与するのが合理的であろうと思われた。 2.臨床的研究 臨床的に膵頭十二指腸切除患者を検討したところ、幽門輪温存例では胃合併切除例よりもCCK、ガストリンなどの分泌パターンは健常者のそれに近く、膵外分泌機能も良好であり、残膵の再生促進機序が作動していることが推察された。次に幽門輪温存症例の術後の胃内pHモニタリングの成績を詳細に解析したところ、とくに夜間において平均pH値もpH holding timeも下降する症例があり、胃内pHからみて粘膜攻撃因子が増加傾向にあることが判明した。事実本術後の吻合部潰瘍を発生した例があり、術前高酸例に対して本術式を採用するときは慎重な配慮が必要であろうと思われた。またH_2ブロッカーに代表される酸分泌抑制剤の術後投与は、胃内容停滞の軽減や吻合部潰瘍予防上に極めて有用であったが、同時に膵外分泌を抑制するので膵再生機転からみても、その無批判なる長期投与は問題があることなども判明した。
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