研究概要 |
IN vitro癌浸潤能評価法として確立したInvasion-MTTassayの検討より、以下の研究結果が得られた。切除腫瘍およびヌードマウス移植腫瘍の32腫瘍(胃癌7,大腫癌16,膵癌9)を対象とした検討では、肝転移例と非転移例の本法による浸潤能(PI値)に有意の差異が認められた。さらに、切除消化器癌1080例(胃敗614例,大腸癌440例,膵癌9例)の臨床病理学的所見において、肝転移の有無で有意差がみられた因子は静脈・リンパ管侵襲であったが、両因子のsensitivityとspecificityに比べて、PI値のそれは明らかに高値を示した。これらの結果より、臨床での肝転移と浸潤能との関連および肝転移予知の可能性が示唆された。 臨床的研究として消化器癌における各種予後因子と転移・再発との関連について検討を行い、以下の研究結果が得られた。145例の食道癌症例を対象としたDNA ploidyによる腫瘍悪性能の検討では、77例(53%)にHeterogeneityが認められた。Heterogeneityを有する症例では、HeterogeneityのないDiploidyおよびAneuploidy症例に比べてリンパ節転移率が有意に高値を示し、5年生存率においては有意に低値を示した。さらに、大腸癌症例を対象とした同様の検討でも、DNA ploidyにおけるHeterogeneityは、重要な予後因子であることが明らかにされた。遺伝子解析に関していは、臨床材料(胃癌,大腸癌,膵癌)から抽出したm-RNAを用いて、数種の癌遺伝子(K-ras,erbB2,MKなど)についてNorthern blottingにより解析中である。
|