研究分担者 |
松崎 浩史 九州大学, 医学部, 助手 (10211567)
河野 博之 九州大学, 医学部, 助手 (80178227)
富永 隆治 九州大学, 医学部, 講師 (70136464)
川内 義人 九州大学, 医学部, 講師 (80117093)
安井 久喬 九州大学, 医学部, 助教授 (20089923)
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研究概要 |
1.ラット摘出心潅流モデルを用いて,心保存の導入(心筋保護液投与),維持(低温単純浸漬保存)および再潅流法の検討を進めた.そのなかでも心筋細胞内カルシウム蓄積を予防する方法の開発を最大の目標として,まず抜本的な心筋保護液組成の見直しを行った. (1)従来広く用いられている高カリウム組成の心筋保護液や保存液は,細胞外液組成液に比べて細胞内カルシウムの蓄積をきたし易いことが示唆された.そこで発想を逆転し,低カリウム組成の心筋保護液を開発して検討した結果,高カリウム液と比べても遜色無い心筋保護効果を得た. (2)低カリウム心筋保護液による心停止導入にはアデノシン添加が有効であり,電気的心停止の維持にはATP感受性potassium channel openerであるピナシジルの添加が有効であった.アデノシンとピナシジルの併用により,最良の心機能回復が得られた. 2.活性酸素による心筋障害機序を解明するためにHPLC法による心筋内MDA測定法を新たに開発した.この鋭敏な測定により,再潅流せずとも虚血中においてもすでに脂質過酸化反応が進展していることが示された.さらにその過酸化反応はischemic contractureの進展と相関しており,細胞内カルシウム蓄積と関係している可能性が示唆された. 3.コラゲナ-ゼ処理により単離したラット心筋細胞モデルを用いて細胞内カルシウム蓄積やpHの変化を測定し,心筋保護液や保存液の組成と温度の影響について検討中である.
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