研究課題/領域番号 |
03454338
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
清水 健 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60022844)
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研究分担者 |
金戸 善之 金沢医科大学胸部外科, 講師 (60194932)
坂本 滋 金沢医科大学胸部外科, 講師 (20148159)
笹木 秀幹 金沢医科大学胸部外科, 講師 (60153996)
滝口 智夫 金沢医科大学総合医学研究所, 難治疾患研, 教授 (50064514)
竹越 襄 金沢医科大学循環器内科, 教授 (40064539)
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キーワード | リニアアクチュエーター / 人工心臓制御装置 / ポンプと生体の整合性 / 人工循環の生体への影響 / 凝固線溶系 / 出血と血栓 / Nafamostant Mesilat / 移植免疫 |
研究概要 |
心臓移植が欧米ではルーチンの手術として盛んに行われるようになった今日、ドナー不足のため心臓移植の症例数は頭打ちとなり心臓移植を受け入れずに死亡する患者が増加している。わが国においては未だ心臓移植の機運が整わず、むしろ人工心臓による延命に力点がおかれつつある現況である。このような状況をふまえ、ポータブル型長期使用可能な補助人工心臓の開発と、人工循環中に生ずる血液の変化を検討し、心臓移植へのブリッジを行う場合の治療体系の確率をめざした研究を行った。 1.補助人工心臓の制御システムの開発:リニアアクチュエーター人工心臓をアイシン精機(株)と共同開発し、特にこの人工心臓を用いて補助循環を行う場合の制御システムを考案した。血液ポンプの圧容積曲線からEa/Eesを求めこれが1に限りなく近くなるように駆動条件を設定した。 2.人工循環中に生ずる血液凝固・線溶系の変動とその対策:人工循環前中後一週間にわたれ、血小板、フィブリノーゲン、FDP、Dダイマー、ATIII、FPA、TAT、プロテインC、PAI-1、t-PA、α-PI、PLGの変化を経時的に測定した。これをA群としまた凝固線溶系を安定化するNafamostatMesilatを人工循環中に2mg/kg/時の割合で投与し、また循環後も0.2mg/kg/時投与して前述のパラメーターを測定しこれをB群とした。 A群では凝固系のパラメーターである血小板数、ATIII、TATおよびFPAに変化が強かった。線溶系ではα_2PI、Dダイマーの変化が強く、凝固線溶系の亢進が示唆された。B群ではA群に比していづれのparameterの変化も軽微であった。 Nafamostat Mesilatの投与は人工循環中における凝固線溶系を安定化し体外循環を含めた人工循環中およびその後の出血ならびに血栓形成の防止に有利な効果をもたらすものと思われた。引き続き行われる心臓移植に有効であると判断された。
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