研究課題/領域番号 |
03454339
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
片山 治 近畿大学, 医学部, 講師 (90177402)
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研究分担者 |
井上 知 近畿大学, 医学部, 助手 (80232536)
北山 仁士 近畿大学, 医学部, 講師 (50224978)
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キーワード | 心筋保護 / 心筋エネルギ-代謝 / NMR法 / 未熟心筋 |
研究概要 |
本年度の実験では成熟家兎及び乳児家兎(生後6ー9日)を用い、心筋虚血時及び再潅流時の心筋エネルギ-代謝について検討を行った。乳児家兎の日齢については、入手の問題により実験計画時のものに比べ1〜2日大きいものになった。実験はまず15℃の温度下に心筋保護液を使用せずに、冷却した通常潅流液を冠動脈内に注入したコントロ-ル群を設定し、その虚血中及び再潅流後の心筋エネルギ-代謝について検討を行った。虚血3時間後にはクレアチンリン酸は成熟心及び未熟心ともほぼ検出不能なレベルまで低下していた。しかしATPは成熟心では50.0±6.9%(of preischemic level)、未熟心では33.1±8.9%で成熟心の方が良好に保存されていた。またこれらの心臓を再潅流した結果、成熟心では再潅流30分後には58.1±3.9%に、未熟心では61.6±4.4%まで回復が認められ虚血直後のATP量が必ずしも反映されないことが分かった。次にcrystalloid cardioplegia(St.Thomas'液,ST)及びcold blood cardioplegia(CBC)を心停止液として使用し同様の検討を行った。まずST使用群で、3時間虚血直後の心筋内ATPは成熟心では68.1±2.6%、未熟心では74.3±4.5%と心筋保護液を使用しない場合に比べ有意に良好な保存状態を示した。またCBC群で、成熟心では68.5±2.6%、未熟心では60.3±3.9%とST群同様心筋保護液の効果が認められた。再潅流30分後にはST群成熟心では74.1±3.0%、未熟心では91.7±2.6%、CBC群成熟心では73.4±4.0%、未熟心では75.1±3.7%であり、未熟心筋ではSTの1回投与が著者に心筋保護効果を発揮することが判明した。来年度はST及びCBCの至適投与間隔について更に検討を行い、臨床に応用し得るかどうかについての検討も行う予定である。SOD投与の効果についての実験は成熟心については結果がでているが、現在その持つ意味について検討中であり、最終報告で合わせて報告を行う。
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