研究課題/領域番号 |
03454340
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
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研究分担者 |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (40199691)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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キーワード | 組織血流 / 無拍動流体循環 / 末梢循環 / 肺水分量 / 無拍動流肺循環 / 末梢血管抵抗 / 循環調節 / カラードマイクロスフェア法 |
研究概要 |
本年度は当初の計画通り、1.対照動物、2.覚醒下に心拍出を速やかに無拍動流化した動物、3.全置換型人工心臓装着動物、をモデルとした解析を行なった。 モデルの1と3を用いた検討では、心拍出量の調節に対する末梢循環の役割を知ために、安静時とともに運動負荷時の末梢循環動態と心拍出量の関係を検討した。対照動物では、カテコラミン分泌などによる液性や交感神経の活動などによる神経性の心拍出の調節があるが、全置換型人工心臓を装着した動物ではこれらの調節がなく、弱いながらフランク・スターリングの法則に似た心拍出量の増減が見られるのみであるため、これらのモデルを用いて検討することによって、循環における末梢と中枢との相互関係が評価できるのではないかと考えた。現在までに得られた知見によると、対照動物、全置換型人工心臓装着動物とともに末梢血管抵抗値と心拍出量は負の相関を示し、末梢による心拍出量の調節が人工循環時に重要であることが明らかとなりつつある。 一方、肺循環の無拍動流化については、右房右室脱血、肺動脈間送血となるように装着した補助人工心臓を、術後慢性期に定常流ポンプに取り替える実験モデルで、カラードマイクロスフェア法による組織血流分布、肺内水分量、肺の病理組織所見などにより、肺末梢循環の動態を検討した。その結果、背側/腹側の血流量分布や肺水分量も変化せず、また、病理所見でも浮腫なども見られず、無麻酔下では、急速に肺循環を無拍動流化しても、肺の末梢循環動態は影響を受けないことが解った。この現象は、前年度で明らかとなった体循環の無拍動流化が健常動物では末梢循環動態に影響を及ぼさないことと類似の結果であり、人工循環による無拍動流循環時にも、末梢循環が生理的範囲内に維持される可能性を示唆したと考えられる。
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