研究課題/領域番号 |
03454342
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉井 與志彦 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50110507)
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研究分担者 |
兵頭 明夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40167606)
石川 演美 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10026932)
早川 吉則 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90101740)
丸橋 晃 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (30114135)
辻井 博彦 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50088853)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / ターゲティング / 陽子線 / ヘテロジェナイティー / DNA量 / GFAP |
研究概要 |
今年度も引き続きターゲティング治療法の研究として(1)腫瘍の生物学的heterogeneityの研究を、ホルマリン固定標本でもG1SG2M期の解析が可能であるPCNA-PC10抗体を使ったヒト脳腫瘍Growth Fractionの解析、(2)ヒト脳腫瘍組織のFeulgen染色によるDNA量の形態計側的な分析とヒスグラムの算出(3)悪性脳腫瘍のin vivo浸潤能診断に関する研究、(4)実験脳腫瘍に対するUD40、ACNU、の動注療法の研究。(5)頭蓋底部腫瘍に対する陽子線治療の研究を行った。 (結果)(1)PCNA-GF値は悪性脳腫瘍において高値(28.1%)を示し、一方良性脳腫瘍は低値(4.6%)を示し、PCNA-PC10は生物学的悪性度を表す指標となりうることを報告した。(2)DNA量の分析では悪性脳腫瘍ではDNAindex(DI)値が1.46、良性では0.98であった。ヒストグラムでは悪性はaneuploidyを示し、染色体数モードの右方移動を示した。良性は全例diploidyを示した。SG2M期の割合は悪性では17.5%、良性では7%であった。即ちPCNA-GF値では個々の腫瘍細胞の生物学的heterogeneityが明らかでなかったがDNA分析によってその程度は明らかとなった。(3)浸潤能のin vivo診断は昨年度の201TI-SPECT分析の他にGFAP染色による細胞の形状とMR画像との対比やGd-DTPAの増強効果と悪性度との関連に於いて研究し、画像で周辺の形状がヒトデ状の場合はGFAP陽性細胞も細長く、浸潤能が高い傾向にあった。またGd-DTPAで増強される場合は74%に悪性所見を呈していた。即ち画像による腫瘍形状や増強効果で浸潤能のin vivo診断が可能であることを報告した。(4)UD40やACNUの動注効果については結果が一定せず、実験条件になお検討すべき余地があった。(5)頭蓋底部腫瘍に対して、陽子線治療は精確な線量分布が描きやすく、また脊索腫のような上下方向に伸展する腫瘍へは特に有利な治療機器である。陽子線がターゲティグ治療の中心的な機器となりうることを報告した。
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