研究課題/領域番号 |
03454343
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松谷 雅生 東京大学, 医学部(病)脳神経外科, 助教授 (90010454)
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研究分担者 |
長島 正 東京大学, 医学部(病)脳神経外科, 助手 (70217991)
百瀬 敏光 東京大学, 医学部(病)放射線科, 助手 (20219992)
河本 俊介 東京大学, 医学部(病)脳神経外科, 助手 (00231275)
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キーワード | グリオーマ / グリオブラストーマ / 脳腫瘍 / 放射線治療 / 術中照射 |
研究概要 |
1.放射線照射の組織学的効果の判定:悪性グリオーマ初期治療としての外部照射後、salvage surgeryを行った症例の組織標本より、照射線量と照射終了時から再手術までの期間との相関において、組織学的照射効果とS期細胞数の変化をBUdR染色にて検討した。 Glioblastoma初回手術例(照射前)のBUdR LIの平均は8.2%であった。BUdR陽性細胞の数は腫瘍内の部位により異なり、血管内皮細胞増殖を伴う血管の周囲において多い傾向を認めた。放射線照射の影響が残っていると考えられる照射後手術群の平均LIは3.8%であった。LIが1%未満を示した5例の照射線量は平均65.6Gyであり、1%以上を示した8例の平均57.5Gyと有意の差を示した。照射線量増加につれてLIは低下する傾向を認め、最小の照射線量でLI0.1%未満を示したのは、外部照射70Gyであった。以上より、悪性グリオーマを制御するには、少くとも70Gy以上の線量が必要と考えられた。 2.局所高線量照射方法(術中照射)の治療成績:大脳半球グリオブラストーマ30例を術中照射にて治療した成績を、通常の外部照射で治療した症例と比較した。後者は手術摘出量により亜全摘群と部分摘出群に分けた。術中照射群30例の術中照射線量は18.3±3.7Gy、外部照射線量は58.5±10.7Gyであった。生存期間中央値(MS)は118.9週であり、2年生存率は61.3%であった。これらは亜全摘群のMS(98.1週)と2年生存率(47.4%)、部分摘出群のMS(42.4週)と2年生存率(10.7%)より有意に良好であった。治療成績の比較では、外部照射群と広範再摘出群との差は可及的広範摘出が延命につながることを示し、広範摘出群と術中照射群の差は、残存腫瘍量がほぼ同じであることから、術中照射の有無の差と考えられた。局所高線量照射方法である術中照射の有効性は明らかである。
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