研究課題/領域番号 |
03454343
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松谷 雅生 東京大学, 医学部(病), 助教授 (90010454)
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研究分担者 |
高倉 公朋 東京女子医科大学, 教授 (90109984)
長島 正 東京大学, 医学部(病), 助手 (70217991)
百瀬 敏光 東京大学, 医学部(病), 助手 (20219992)
河本 俊介 東京大学, 医学部(病), 助手 (00231275)
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キーワード | 神経膠腫 / 放射線治療 / 予後規成因子 |
研究概要 |
低分化神経膠腫であるglioblastomaは成人の腫瘍であり、65才以上にも25.0%が発生し、特に高齢者の治療予後の悪いことが強調されている。治療成績の分析が可能だった139例の成人glioblastomaを、65才以上群(27例)と65才未満群(112例)とに分け、治療反応の差を検討した。 外部照射による腫瘍縮小率を比較すると、50%以上縮小症例率(有効率)は、65才以上群37.5%、65才未満群25.5%、両者間に有意差はなかった。放射線治療増感作用を有する化学療法を併用しつつ50Gy以上の照射(平均照射線量64.9Gy)を行った結果は、65才以上群のmedian survival(MS)43.9週、1年生存率47.8%、2年生存率14.3%で、65才未満群(MS56.1週、1年生存率58.6%、2年生存率22.7%)と比較すると後者の方が良好な結果であるが、統計学的には有意な差はなかった。 両者の背景因子を検討すると、腫瘍の発育部位、手術による摘出量、照射線量、照射による腫瘍縮小率および維持化学療法には差が見られない。差があるのは治療前後の神経症状(Karnofsky scale,KS)である。治療前の神経症状を評価すると、その平均値は65才以上群65.6%、65才未満群75.7%で有意な差が認められた。KS70%(自立可)以上の症例も、65才以上群で有意に少なかった。この有意差は、術後および放射線治療終了時のKS評価にもつながり、全ての時点において65才以上群のKSは有意に低い値となった。65才未満症例では、術後(照射前)のKS70%以上の症例は、それ以下の症例と比べて有意な差(MS61.1週と38.7週)が得られている。65才以上群では治療前のKSが65才未満群に比して悪いことが、治療成績不良の大きな要因となっていると考えてよい。
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