研究課題/領域番号 |
03454345
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
谷口 郁雄 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60014255)
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研究分担者 |
堀川 順生 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (50114781)
黒岩 俊彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (80129832)
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キーワード | 脳梗塞 / 大脳皮質 / 神経活動 / 光学的計測 / 多チャンネル同時計測 / 病理組織 |
研究概要 |
1.光学的生体計測の実験を開始する前に、次のような電気生理学的および病理組織学的実験を行なった。 (1)ネコの皮質脳血流を連続的に測定して中大脳動脈閉塞後の血液・脳関門、脳浮腫、組織像について検討した。血液・脳関門の破綻による血清蛋白質の漏出は血行再建とともに増悪し、それと密接な相関をもって脳浮腫の程度も増悪したが、反応性高血流を抑制した群では血液・脳関門破綻、脳浮腫ともにその程度は軽度であった。これらの結果は脳梗塞急性期の血行再建術は再建時血流をコントロ-ルしないと脳浮腫をかえって増悪させ逆効果になることを示唆している。 (2)スナネズミを用いて両総頚動脈閉塞前、閉塞中、血流再開後の各時点におけるクリック音刺激に対する聴性脳誘発電位(AEP)を測定した。両総頚動脈を10分間閉塞させると下丘以下の末梢に由来するAEPの成分波形は残存するが、下丘より上位に由来するAEPの成分波形は消失した。しかし血行を再開すると徐々にAEPは下位の核に由来する成分から回復し、7時間後にはコントロ-ルのAEP波形に近い波形を示したが、厳密には完全な回復には至らなかった。この結果は3日後に作成した組織標本に、海馬のCA1領域の外、大脳皮質聴覚領の中層に見られる神経細胞の変性に先だって起こった機能的な変化とみなせる。 2.光学的生体計測装置(144チャンネル)が設置され、これまでにその時空間的分解能を可能な限り増大させるためのハ-ドウエア、ソフトウエア両面の改良を行ってきた。予備実験の結果、大脳皮質における神経活動の多チャンネル同時計測が充分行える性能が認められた。この装置は人間の眼では検知できないレベルの光量が検知可能で、今後の研究に期待がもたれる。
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