研究課題/領域番号 |
03454348
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
長尾 省吾 香川医科大学, 医学部, 教授 (60100947)
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研究分担者 |
伊藤 輝一 香川医科大学, 医学部, 助手 (10203150)
本間 温 香川医科大学, 医学部, 助手 (60209343)
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キーワード | 脳浮腫 / 神経性因子 / 延髄網様体 / 電気刺激 / 中枢性バゾプレッシン / バゾプレッシン・レセプタ-・アンタゴニスト / ペプチド |
研究概要 |
1.ネコに凍結脳損傷にて脳浮腫を作成した後、延髄網様体を電気刺激すると、約40分間の短時間に1.5〜3%の脳水分量が認められたことより、脳幹刺激が何らかの神経性因子を介して、脳血管の水分透過性を亢進せしめたと推定された。 2.最近の研究では、中枢性バゾプレッシンが脳血管の水分透過性に関与するとされている事から、延髄網様体を刺激した後、髄液中のバゾプレッシンを定量したところ、正常ネコでは2〜5pg/mlであるのが刺激によって2〜3倍に増加した。脳浮腫ネコでは髄液中バゾプレッシンは10〜15pg/mlと基礎値が増加しており、40分間の刺激によってやはり2〜3倍に増加した。このことから脳幹刺激によって中枢性バゾプレッシンが増加することが明らかになり、この増加が脳浮腫の急速な増悪に関与していると考えられた。 3.そこでバゾプレッシン・レセプタ-・アンタゴニスト(以下アンタゴニスト)の中枢性投与が脳浮腫進展を抑制する可能性があると考え、以下の実験を行った。ラットの一側大脳に凍結脳損傷を作成し、脳室内にアンタゴニストを投与し、24時間後の脳浮腫の程度を脳水分量測定で比較した。その結果、V_1アンタゴニスト50mgの投与が一番抗脳浮腫効果があることが判明し、次いでV_1アンタゴニスト500ng、V_2アンタゴニスト50ngで軽度の抗脳浮腫効果が認められた。以上の結果より、アンタゴニストの脳室内投与はペプチドレベルで脳血管水分透過性を抑制し、脳浮腫軽減に役立つ治療法となる可能性がある。現在、投与量、投与時期、投与回数を種々変えて最も有効な投与法を検討中である。将来的にはアンタゴニストを徐放性ポリマ-に包埋し、脳実質内に投与できるように準備している。
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