研究課題/領域番号 |
03454353
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
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研究分担者 |
前田 達浩 杏林大学, 医学部, 講師 (50210993)
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 助教授 (80231489)
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キーワード | C-CAM / K3 / 細胞-細胞接着蛋白質 / 脳血液関門 |
研究概要 |
(1)C-CAM蛋白質は、CEAファミリーに属する細胞-細胞接着蛋白質であると考えられている。この分子が、胎生期ラット脳血管に特異的に発現していることを発見し、発現態度を、免疫組織学、免疫電顕、in situ hybridization等の方法を用いて検討し、次の結果を得た。 1)C-CAMは胎生期比較的早期(E-13)より発現し、生後14日目には消失する。 2)C-CAMの発現は、胎生期E-15では、中枢神経血管内皮のabluminal site及びpericyteの突起に限局し、P-1では、pericyteの細胞膜及びpericyteに接触している内皮細胞及び星膠細胞の突起に発現を認めるようになる。これらの形態学的結果から、C-CAMが発生時における脳血液関門(BBB)形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。BBB形成に関与するC-CAMの役割についての研究に加えて、C-CAM分子のクローニングに成功し、少なくとも2つのisoformのあることが判明した。新しく発見されたC-CAM2は、cytoplasmic domainが短いisoformであるが、このcDNAを、eukaryotic expression vectorに入れることができ、加えて、N末を欠損させたプラスミドの作成に成功した。 さらに、これらのisoformsの種々のポリペプチドを合成し抗体を作成した。分子生物学的手法を用い、N末のcDNAをクローニングし、融合蛋白質発現システムに導入、N末特異的抗体を作成した。これらのプラスミドを用いたtransfectionと、部位特異的抗体とにより、C-CAMの生物学的役割を明らかにできると思われる。 (2)cDNA K3クローンは、脳血液関門に関連する鳥のHT-7抗原のラットホモローグであることが判明した。cDNA K3クローンから融合蛋白質に対する作成し、その抗体を用いて、ラット脳血管発生時の発現を検討し次の結果を得た。 1)この抗原は、出生後早期に、中枢神経の血管のluminal siteに限局し、電顕的には、P-8時、tight junctionに存在する。このことから、K3蛋白質も、BBB形成過程に重要な役割を果たすものと考えられる。
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