研究課題/領域番号 |
03454356
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長野 昭 東京大学, 医学部(分), 助教授 (30111537)
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研究分担者 |
三上 容司 東京大学, 医学部(病), 助手 (60165983)
黒川 高秀 東京大学, 医学部(病), 教授 (90010298)
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キーワード | 骨延長 / 神経延長 / 創外固定 / ときほぐし法 / ランビエ絞輪間距離 |
研究概要 |
家兎16羽を用い、右大腿骨2cm(大腿骨長の平均23%)の延長で、坐骨神経は肉眼的に平均13%延長され、この範囲内では神経損傷はおきていなかった。延長率がどの程度になると神経損傷が起こるかを検討する予定であったが、創外固定器を大腿骨に固定する際、1.6mmのKirschner鋼線を用いていたため、延長時、鋼線自体が弯曲し2.5cm以上の延長ができなかった。現在はヒトの指延長用の強固な螺子に変更してから2.5cm以上延長することが可能になり、現在神経損傷を起こす延長率を検討中である。 延長時神経がどの部位で延長されているかを検討するため、延長前に神経上膜上に1cmの距離でナイロン糸でマークし、2cm延長後その距離を計測すると、マーク間距離は0.8-1.4cmで、一定の傾向はなく、また部位による差も一定の傾向を示さなかった。これは、手術操作時の関節角度、その時の神経緊張度、術後の周囲との神経の癒着、マークした糸の緩み、および肉眼計測法に問題があったと考えられ、現在は神経の潅流固定法、X線撮影による計測法に変更するところである。 延長された坐骨神経がどの部位で延長されているかを調べるため、神経ときほぐし法により検討してみると、有髄神経線維の変性所見はなく、正常坐骨神経の神経線維と比べてランビエ絞輪部の形態と長さには差異はなかった。従って、ランビエ絞輪間での延長が示唆され、実際、ランビエ絞輪間距離は約10%伸長され、同時に神経線維の幅は約7%細くなっており、13%の神経の延長は神経線維自体の弾性により伸長されていたと考えられた。また肉眼的神経伸長率とときほぐし標本での神経伸長率の差は神経外膜と神経線維束との間での滑走がその原因と考えられた。
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