研究概要 |
平成3年度の計画はbaioactiveなセラミックスと骨との界面を透過電顕で観察することであったが、その方法が確立し、非脱灰で透過電顕の観察が可能となった。ラット脛骨部にセラミックスの顆粒を埋入し、8週後に脛骨を摘出、脱水後エポキシ樹脂に包埋した。これをバンドソ-で切断し、ラップ盤で約30ミクロンまで研磨した。次に、これから標本部分を細切し、エポン樹脂で包埋しなおしたのち、ダイヤモンドナイフを使い、超薄切片を作成し、透過電顕にて骨とセラミックスとの界面を観察した。観察したセラミックスはAーWガラスセラミックス、バイオガラス、セラビタ-ル、焼結水酸アパタイト,カルサイト(炭酸カルシユウム)、三燐酸カルシュウム、であった。この中で、Surface active materialと称されるAーwガラスセラミックス、焼結水酸アパタイト、バイオガラス、セラビタ-ルでは材料と骨との界面に骨のアパタイトと比べて配向性がなく、0.1ミクロンから1ミクロン程度の小さな結晶の層が観察された。この層は電子回折でアパタイトと確認された。しかし、bioresorbableと言われるカルサイトと三燐酸カルシュウムではこのような層は観察されず、材料表面の吸収が生じて、微小な凹凸を形成し、骨組織がそれらに軟組織を介さずに進入し結合を形成する事が観察され、surface active materialとbioresorbable materialとで界面が異なっていることが判明した。また、アパタイト層は表面からガラスセラミックスの中にも形成され、この層までがSEM,EPMAでcaーP RichーLayerと言われるCaとPが高くなっている層であることがわかった。今後の課題として経時的なアパタイト層の観察とともに、培養細胞とセラミックス界面の観察を行い、アパタイト層の形成過程を調べることである。
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